7世紀中頃中国(呉)の帰化人・善那(福常)、孝徳天皇に牛乳を献上してから・・・
日本には、飛鳥時代に中国から仏教とともに牛乳・乳製品が伝わりました。滋養薬として高貴な人々の間で食されたと記録があります。乳を加工していくと、「酪(らく)」、「酥(そ)」、「醍醐(だいご)」ができるとあり、これはクリームやヨーグルト、チーズ、バターといった乳製品のようなものです。最後に醍醐になるのですが、それは最高のおいしさで、「仏陀の最上の教え、醍醐のような」と例えられ、「本当の面白さ」「真髄」といった意味の「醍醐味」という言葉のもとになりました。
「医心方(いしんほう)」(984年)という日本最古の医学書は牛乳を薬として紹介し、「乳を服するには必ず煮ること。一、二沸、火を止めて冷却し之を飲む」という記録が残っています。
平安時代以降は、武士の力が強まり、牛の牧草を育てるより、馬の飼育が優先されました。江戸時代中期、徳川吉宗が徳川所領として公的な牧場を設けて、酪農にも力を入れましたが、一般には広まりませんでした。
明治期、海外から人も情報も入ってくると、関東地方を中心に牛乳・乳製品の生産が開始されました。伝来から、現在のように牛乳・乳製品が広まるまで、長い年月がかかったといえます。
牛乳には
(第一次機能)生命維持機能の栄養機能、
(第二次機能)食品成分が感覚に訴える感覚機能、
(第三次機能)生体防御、老化・疾患防止などの生体調節機能
があります。
牛乳の優れた点をより詳しく研究するには、まだまだ時間がかかりそうですが、牛乳は魅力ある機能を持っていますし、食品としても、まだ未知の可能性をもっていると思います。
食べ物は薬ではありません。牛乳も食品として考えていただき、フードファディズムに乗ることなく、牛乳・乳製品に対する正しい評価をしていただき、健康の維持のために優れた食品である牛乳を有効に利用していただきたいと願う次第です。