●『飲用乳の表示に関する公正競争規約』とは・・・?
●牛乳類の必要な表示
●牛乳類の強調表示、原産地表示について
●商品名等に『牛乳』の表示を使用する場合の基準
●食品(牛乳類を含む)の栄養表示
●牛乳類の期限表示
●牛乳類の不当表示の禁止
1968年(昭和43年)5月に、公正取引委員会から『不当景品類及び不当表示防止法』の規定により認定をうけ公正取引委員会告示第3号で周知され、1968年(昭和43年)12月から施行されました。
___これは虚偽や誇大な表示の発生を未然に防止し、消費者が適正な商品を選べるようにすることと、牛乳業界の公正な競争を確保することを目的として、公正取引委員会の認定をうけた業界の自主規制で、全国飲用牛乳公正取引協議会が運営しています。
なお、牛乳・乳製品に関しては『乳及び乳製品の成分規格等に関する省令』(略して乳等省令)が1951年(昭和26年)に定められています。この法律を補うものとして公正競争規約が定められたのです。
飲用乳とは、【種類別】牛乳、特別牛乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳、乳飲料の6種類で、必要な表示項目、表示の位置、活字の大きさ、禁止事項など、細かく規定されています。
乳等省令と公正競争規約によって、 牛乳類の種類別に応じて 紙容器やキャップなどには、 次の項目が必ず一括して表示されています。 この表示を確かめてください。 |
一括表示項目 | 牛乳 | 加工乳 | 乳飲料 |
種 類 別 | ○ | ○ | ○ |
(常温保存可能品)※1 | ○ | ○ | ○ |
商 品 名 | ○ | ○ | ○ |
無脂乳固形分※2 | ○ | ○ | ○ |
乳脂肪分 | ○ | ○ | ○ |
植物性脂肪分 | . | . | ○ |
乳脂外動物性脂肪分 | . | . | ○ |
原材料名 | ○ | ○ | ○ |
殺 菌 | ○ | ○ | . |
消費期限又は 品質保持期限※3 | ○ | ○ | ○ |
内 容 量 | ○ | ○ | ○ |
製造所所在地 | ○ | ○ | ○ |
製 造 者 | ○ | ○ | ○ |
保存の方法 | ○ | ○ | ○ |
開封後の取扱 | ○ | ○ | ○ | |
一括表示例 | 【牛乳の場合】 |
(紙容器の例) |
種類別名称 | 牛乳 |
商 品 名 | ミルクの館3.5牛乳 |
無脂乳固形分 | 8.3%以上 |
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乳脂肪分 | 3.5%以上 |
原材料名 | 生乳100% |
殺 菌 | 130℃2秒間 |
品質保持期限 | 上部に記載 |
内 容 量 | 1000ml |
製造所所在地 | 奈良県北葛城郡新庄町新庄 |
製 造 者 | ミルクの館 |
保存の方法 | 10℃以下で保存してください |
開封後の取扱 | 開封後は、品質保持期限にかかわらず、できるだけ早くお飲みください |
(びんキャップの例)
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※1冷蔵庫に保存しなくてよい常温保存可能品はその文字を種類別名称の下に表示します。
※2無脂乳固形分とは、牛乳から乳脂肪分と水分を除いた成分
※3当該期限と同一期限を示す文字として適当であるとして厚生大臣が定める文字を含みます。
(注:1)特別牛乳、部分脱脂乳、脱脂乳の一括表示項目は牛乳の場合と同じです
(注:2)乳飲料において植物性脂肪分、乳脂外動物性脂肪分を使用しない場合には表示を省略することができます。また、殺菌の標題も省略することができます。
1.牛乳類は、一括表示項目のほかに、
公正競争規約によって表示の基準、方法が定められています。
牛乳は、紙容器には、正面を含む2面以上に商品名と併記して【種類別】牛乳と表示され、活字の大きさは、『種類別』=10.5ポイント以上、『牛乳』=500ml超の容器は、18ポイント以上、500ml以下の容器は、16ポイント以上の活字の大きさと定められています。
びんには、キャップに牛乳と表示されて、びん口に薄紫色を基調としたフードが着用され加工乳や乳飲料などと区別されています。
2.加工乳や乳飲料は、
___紙容器には、正面を含む2面以上に商品名と併記して【種類別】加工乳、又は【種類別】乳飲料と表示され、
●商品名に『ミルク』『乳』の表示を行う場合
『加工乳』『乳飲料』という【種類別名称】の文字は、商品名に用いる活字の3分の2以上の活字の大きさで、商品名に密着して表示。
●商品名に『ミルク』『乳』の表示がない場合
500ml超の容器は、18ポイント以上、500ml以下の容器は、16ポイント以上の活字の大きさと定められています。
●果汁の含有量の表示に関しては、
果汁5%未満の場合、無果汁又は、1%毎の整数で、14ポイント以上の活字の大きさで表示すると定められています。
びんには、キャップに加工乳、又は乳飲料と表示されています。
牛乳キャップ画像提供:
【牛乳キャップとは?】
牛乳類の容器に表示されている『公正マーク』は、『飲用乳の表示に関する公正競争規約』(略して公正競争規約)により、正しい表示がされている牛乳類についています。
___マークがあれば、公正競争規約にもとづいて正しく製造され、商品の中身について正しい表示がなされていることがわかります。
●『公正マーク』のチェック
___新しい容器を作るときや表示を変えるときは、事前に表示案の点検と指導がなされます。また、表示した成分や内容量については年3回の認定検査機関の検査報告がされます。
現在全国の約800の製造業者が会員になっており、公正マークつきの製品は飲用乳全体の約95%に達しています。
●強調表示を行う場合は、次のような基準よることととしています。
- 成分が濃い印象を与える文言(濃厚、特濃など)を表示する場合
無脂肪乳固形分8.5%以上、乳脂肪分3.8%以上の成分を満たす牛乳類であること。
- 品質が優れた印象を与える文言(特選、厳選など)を表示する場合
無脂肪乳固形分8.5%以上、乳脂肪分3.5%以上、細菌数10万/ml以下、体細胞数30万/ml以下の生乳を使用し、公正取引協議会が定めた生産管理基準を提出する等の条件を満たす牛乳、特別牛乳、部分脱脂乳及び脱脂乳に限ること。なお、加工乳及び乳飲料には表示できないこと。
●原産地表示を行う場合は、次のような基準よることととしています。
原産地とは、行政区間、旧国名、山、高原など社会通念として広く一般に認められている名称で、生乳の生産が行われている地であること。
牛乳、特別牛乳、部分脱脂乳及び脱脂乳に原産地名を折り込んだ商品名を使用する場合は、表示した原産地の生乳を100%使用することとし、その生乳量に応じた限定製品であること。
加工乳及び乳飲料には原産地名を折り込んだ商品名を使用することはできません。ただし、説明文に原産地名を折り込むことはできます。生乳の原産地名を折り込む場合は、『当該原産地の生乳を、50%以上使用するものであること。』となっています。
公正取引委員会から平成11年12月20日、認定・承認され、 平成11年12月22日から施行されています。
加工乳、白物乳飲料の商品名等に『牛乳』の表示を使用する場合の基準が、従来の成分要件についての基準に加え、新しく原材料要件についての基準が設けられました。
この内容は、飲用乳の表示に関する公正競争規約では、牛乳及び特別牛乳以外の飲用乳の表示に、牛乳、ミルク又は乳の文句を用いてはならないこととされ、ただし、例外として公正競争規約施行規則にって、次のとおり一定の要件のもとにそれぞれ用いることができるというものです。
具体的に言えば、加工乳、白物乳飲料に牛乳の文句を用いる場合は、原材料として生乳を、50%を超えて使用することになりました。
飲用乳の種類 | 表示文句 | 原材料要件 | 成分要件 |
加工乳 | 牛乳 (濃厚牛乳) (特濃牛乳)等 | 生乳を、 50%を超えて使用 | 無脂肪乳固形分8.0%以上
乳脂肪分3.0%以上 |
ミルク、乳 | ------- |
白物乳飲料 | 牛乳 (カルシウム牛乳) (ビタミン牛乳)など | 生乳を、 50%を超えて使用 |
ミルク、乳 | ------- |
色物乳飲料 | 牛乳、ミルク、乳、 (コーヒー牛乳) (フルーツ牛乳)など | -------- |
なお、生乳を、50%を超えて使用したことを工場の帳簿類で証明できるように、することとしています。 |
↓
平成13年7月10日、公正取引委員会から変更の認定・承認を受け、 平成13年7月11日から施行されています。
『牛乳』という文言については、種類別【牛乳】及び【特別牛乳】(生乳100%使用のもの)に限って使用できることになりました。
これまで、例えば濃厚牛乳、特濃牛乳といった表示は『加工乳』の商品名として、コーヒー牛乳、イチゴ牛乳といった表示は『乳飲料』の商品名として、それぞれ一定の条件のもとに使われてきましたが、今後はこれらを『加工乳』及び『乳飲料』の商品名には一切使うことができなくなりました。
ただし、『加工乳』及び『乳飲料』の商品名にはミルク、乳という表示を一定の成分要件を満たすことを前提に従来どおり使うことができます。
種類別名称 | 表示文句 | 成分要件 |
牛 乳 | 牛乳、ミルク、乳 | 無脂乳固形分8.0%以上
乳脂肪分3.0%以上 |
加 工 乳 | ミルク、乳 |
乳 飲 料 | ミルク、乳 | |
最近の国民の健康指向を背景に、特定の栄養成分を強調(例えば、カルシウム強化、低脂肪、無脂肪など)した食品が数多く出回っています。食品に栄養成分がどの位含まれているかということについては、表示しなければ消費者の皆さんには推し量ることができません。
このようなことから、消費者の健康づくりに資すような食品選択を支援する観点から、平成8年5月24日から食品の栄養表示基準制度がスタートしています。
この制度は、販売する食品に特定の栄養成分や熱量と主要栄養成分(たんぱく質、脂質、糖質、ナトリウム)とともに、その含有量をも併せて表示することにしたものです。
含有量の表示は、100g当たり、飲料は100ml、又は1食・1個当たりの量を指定された単位により、一定値、又は、下限値及び上限値(幅表示)を記載することになっています。
また『高カルシウム』『低脂肪』などと特定の栄養成分を強調するには、厚生大臣の定める栄養表示基準に基づく一定値の含有量の下限や上限の基準値を満たしていなければ表示できなくなりました。
______これには、『高』『多』『豊富』などと高い旨を表示する場合と、『源』『供給』『含有』などと、含む旨を表示する場合の基準値、反対に『低』『ひかえめ』『カット』などと低い旨を表示する場合と、『ゼロ』『無』『ノン』などと、含まない旨を表示する場合の基準値がそれぞれ定められています。
さらに、他の食品との比較で『強化』『低減』などと強調する場合には、基準値以上に強化・低減していなければならないとともに、比較した食品名と増減量、又はその割合を表示しなければなりません。
乳等省令で、牛乳、加工乳、乳飲料などの期限表示は、安心して召し上がっていただける期限である『消費期限』、『品質保持期限』が定められています。同時に関連する表示として『保存の方法』、『開封後の取扱い』も定められています。
- 公正競争規約での規定
___期限表示を取り入れるため飲用乳の表示に関する公正競争規約、及び同施行規則の一部変更が、公正取引委員会から平成7年5月16日に認定・承認され飲用乳の日付を『消費期限』、『品質保持期限』と明記して、期限が表示されています。
- 公正競争規約に基づく期限の表示【期限表示の類型】
- 『消費期限』の表示
___『消費期限』は、品質が劣化しやすい牛乳、加工乳、乳飲料など(およそ製造日を含めて5日以内のもの)に付けられます。
表示された年月日までに消費して下さい。
- 『品質保持期限』の表示
___『品質保持期限』は、品質の劣化速度が比較的緩慢な、牛乳、加工乳、乳飲料などに付けられています。
すべての品質が十分に保たれ、安心して消費していただく期限の目安です。
- 『保存の方法』、『開封後の取扱い』の表示
___必要表示事項として一括表示欄に『保存の方法』は、『10℃以下で保存』等と、『開封後の取扱い』は、『開封後は、10℃以下で保存し、消費期限・品質保持期限にかかわらず、できるだけ早くお飲みください。』等と表示されていますが、もう1カ所以上、容器の見易い場所に表示されています。
●『消費期限』、『品質保持期限』を表示する活字の大きさに関しては、
500ml超の容器は、14ポイント以上、500ml以下の容器は、12ポイント以上の活字の大きさと定められています。
公正競争規約は、虚偽や誇大に亘る不当な表示を防止して、一般消費者に正しい商品の情報を提供するため、次の表示を禁止しています。
- 飲用乳でないものを飲用乳であるかのように誤認されるおそれがある表示。
- 飲用乳の種類について誤認されるおそれがある表示。
- 飲用乳の原料、成分、品質、その他の内容について、実際のものより著しく優良であると一般消費者に誤認されるおそれがある表示。特に、商品名に『本もの』『生』『天然』『自然』『純』『新鮮』又はこれらに類似する文言を表示することは、禁じています。
- 病気の予防などに効能効果があるかのように誤認されるおそれがある表示。
- 客観的な根拠に基づかないで、特製、高級などの文言を用いることにより、特に優良であるかのように誤認されるおそれがある表示。
- 他の事業者の飲用乳を中傷し、又は誹謗するような表示。
- その他、飲用乳の内容、又は取引条件について一般消費者に誤認されるおそれがある表示。