全国牛乳商業組合連合会 「牛乳に相談だ。」キャンペーン 牛乳に相談だ

中央酪農会議の連携事業の一環としてテレビ放送にて
京乳商・谷尻理事長とともに全乳連顧問の中川泰宏氏、大いに語る




KBS京都・「あぐり京都」

収録風景(右から谷尻さん、中川会長、飛鳥井アナ)

 2006年8月27日(日)KBS京都放送「あぐり京都」のスペシャル対談において「牛乳で築く、健康生活」と題し、全国牛乳商業組合連合会顧問の中川泰宏氏(JA京都会長)京都府牛乳商業組合(以下、京乳商)理事長の谷尻順一氏との対談が放映された。
 (社)中央酪農会議が推進する「牛乳に相談だ」事業の取組の一環として、JA全農京都など生産者組織と販売者組織である京乳商がタイアップして取組んでいる全国的にも稀な牛乳の普及啓蒙活動を通じて実現した企画番組である。この中で語られた中川顧問の想いや展望を中心に抜粋した。


■消費・生産 牛乳の現状
司会者
 牛乳の生産や消費は現状ではどのようになっているでしょう?

【中川泰宏 顧問】
 生産量は増えすぎており余剰感がありますが、中でも飲用牛乳の販売がやや伸び悩んでいるようですね。この理由としてお茶やスポーツ飲料などにイメージで負けている面は否めないでしょう。健康面はもちろんの事、ダイエットや美容への有効性を前面に出し、かつ洗練されたTVCMなどで流される事で消費が傾いているようです。牛乳も飲み方の提案に加え、健康だけでなく美しさなどもイメージして頂けるようなアピールを行う事で消費量増に繋がるのではないかと思います。

司会者
 次に示す通り飲用牛乳は減の反面、乳製品は増となっているようですが?
__平成6年平成16年
年間一人当たり飲用牛乳消費量の推移(指数10091.3
年間一人当たり牛乳乳製品消費量の推移(指数)100104.2

【中川泰宏 顧問】
 乳製品はヨーグルトや乳酸菌飲料、お菓子などの原料として伸びている。しかし、あと3年経つと牛乳は足りなくなるでしょう。これは北海道に大きなチーズ工場が3つ建てられる計画があるからです。現状は外国製の原材料によるチーズが出回っていますが、工場の完成によって、日本製の原材料によるチーズが市場に出回る事となれば、必然的に原料となる牛乳の需要が高まり、結果、牛乳が足りなくなる可能性が考えられます。

■消費減少の背景
司会者
 消費現象の要因としては何が考えられますか?

【中川泰宏 顧問】
 まず少子化が大きな課題であり消費減少の一因でしょう。それとペットボトルの登場で一気にお茶の売れ行きが拡大したことも大きく影響しています。お茶は持って出掛けられますが牛乳はそうはいかない。冷蔵庫から出して、余りは冷蔵庫へ戻さなければならない。ここにハンデがある。だからこそ朝、夜、昼にしっかりと飲む習慣を持ってもらいたい。今後我々は、例えば大きなペットボトルの牛乳を発売し、各家庭の冷蔵庫内における牛乳の置き場所の確保から始める事から考えなければいけないのではと思っています。

■消費拡大に向けて
司会者
 消費拡大に向けてキャンペーンをされているようですが?

【中川泰宏 顧問】
 昨年から始まった「牛乳に相談だ」において、今年度はJAと京乳商が連携して様々な事業を行う計画です。

【京乳商・谷尻理事長】
 祇園祭にはオリジナルの団扇を配布し、特に若年層に牛乳を飲むと太るのでは?という誤った認識の見直しを改めて頂くよう、努力したところです。秋の観光や修学旅行シーズンにはバスや電車などの公共交通機関及び駅などにポスターを貼るなどして町中をこのキャンペーンでジャックしようという意気込みで集中的なキャンペーンを行うことを計画しています。

【中川泰宏 顧問】
 最近は、京都への修学旅行などでも牧場への体験コースなどが増えています。子供たちも本当の現場を見て、本物に触れると意識も変わるのではないかと思います。まさに食育ですね。

【京乳商・谷尻理事長】
 京乳商ではこれらを踏まえ今秋、100数十名のお客様を牧場へ招待するイベントも計画している。

■正しい食の在り方
司会者
 朝食など食事を簡易に取る習慣が増えているようですが?

【中川泰宏 顧問】
 統計的に見ても朝食をきちんと取る子供たちの学習能力は高いと言われています。やはり朝食をきちんと食べ、家族揃って食卓を囲むというスタイルをもう一度見直すべきだと思っています。教育基本法が変わるようですが、その中に是非家族を大切にするという事を盛り込み、学びなおすべきだと考えています。

■健康づくりと牛乳
司会者
 メタボリック症候群など成人病に対し、牛乳が良くないという誤解があるようですが?

【京乳商・谷尻理事長】
 確かにメタボリックシンドロームなどが騒がれる中、牛乳が悪いという誤解があります。しかし、京都府医師会が発行している情報誌に掲載されていた内容で、「糖尿病にならないために」という特集があったのですが、これを見ると「脂肪の摂取は控えよう」という箇所に牛乳の絵が載せられている。しかし反対によく内容を見るときちんと間食にコップ一杯の牛乳を飲む事を奨励している箇所があるのです。消費者は「控える」の意味を誤解し、一日一杯の牛乳を奨励する箇所は意識せず、控える=止めると受け止めてしまう傾向があります。牛乳を飲むデメリットよりも飲まないデメリットの方がはるかに多いはずなのに・・・。

【中川泰宏 顧問】
 このような行動傾向は日本人の悪い所でしょう。悪いと言われればすべてが悪いと思い込んでしまい、そっちに走ってしまう。これも食育同様に教育の問題ではないでしょうか?これもやはり変えていかなければならない。このような現象が起きるのもすべてはイメージが先行している事が問題です。

【京乳商・谷尻理事長】
 このような傾向を払拭する為にも京乳商では今秋のもうひとつのキャンペーンとして、中高生を対象にし「牛乳を飲むとダイエットに役立ちます」というメッセージを盛り込んだチラシを10万枚配布して、きちんと体作りをしなければならない年頃の子供たちを対象に、抽選で1000名に約2ヶ月間牛乳をプレゼントする企画も実施します。
 そしてこれらの企画を通じ、生産者と販売者ががっちりと手を組む事で、我々業界と消費者との距離をより身近なものとしていく中で、安全、安心、おいしい、健康に良いなどをしっかり伝え、ビタミン剤などの単一の栄養素に特化したサプリメントには無い、トータルバランス優れた栄養素を持つ牛乳をきちんと訴求して行きたいと思っています。

■今後の牛乳振興
司会者
 では、最後にこれからの牛乳の振興についてお考えを聞かせてください。

【京乳商・谷尻理事長】
 自分自身も毎日、牛乳にヨーグルト、バナナ、アセロラを混ぜたスペシャルドリンクで、暑さや寒さに負けない体作りをしています。消費者にもこのような飲み方の提案を今まで以上に行いたいですね。そして、今回のキャンペーンを通じて何か消費者へのメッセージを考えてほしいと言うご要望を頂いたので以下のようにまとめてみました。「今はきれい、5年後もきれい、10年後はもっときれい」という事を念頭に、毎日のコップ一杯の牛乳の大切さを感じながら、長く継続的に飲んで頂くことで、お客様の健康な生活のお役に立ちたいと考えています。

【中川泰宏 顧問】
 冒頭に申し上げた通り、3年後を目指して国内産の原料によるチーズ工場が出来上がると、逆に牛乳が足りなくなる程需要が高まる可能性もあります。
 このような中、消費者の方々には是非生産の現場をご覧頂きたいと思います。見ていただければ一目瞭然なのですが、牛乳の搾乳から最終の瓶詰め工程までの間、一切牛乳は空気に触れません。だからこそ、その生産の現場を消費者の皆様ご自身の目で見ていただければ、牛乳がいかに安全で安心できるものであるかが実感として伝わると思います。
 このためには我々自身が、消費者に足を運んでいただける体制作りが必要不可欠です。 牛乳だけではなく、やはり食はすべてまず「安全、安心」からですからね。
 今後は生産者が一生懸命作った商品を、流通者がきちんと最善の方法で消費者へ届け、消費者が満足して愛飲できる為に生産―販売がより一層一丸となって取組むことが大切であると思います。


■<対談を終えて>・・・対談者 谷尻順一氏

 今回の(社)中央酪農会議と連携した事業の実施は、中川顧問や米田嘉浩全乳連会長をはじめとした各関連団体の方々のご尽力が無ければ成しえない事でした。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 初めての試みで苦労や失敗の連続でしたが、皆様のご協力のおかげで何とか事業実施ができました。そして何より生産者と販売者の距離が大幅に縮まり、強力なパートナーシップを構築できたことが大きな成果であると思います。今後はこの関係を単発で終わらせるのではなく、来年以降も継続させ全国での取り組みに発展させ業界全体の発展に繋げたいと考えています。お客様の健康にますます寄与できる事を願いつつ今後も皆様と共に努力して参りたいと思います。

■中川泰宏氏プロフィール

 1951(昭和26年)年9月19日、京都府南丹市八木町生まれ。
54歳。京都府立園部高等学校卒業、八木町町議員を経て、八木町町長に就任(3回当選)。現在、JA京都中央会・JA京都信連・JA全農京都・JA共済連京都の共通会長、JA京都会長。全国連は、JA共済連経営管理委員並びにJA全農経営管理委員。
__衆議院議員。2005年(平成17年)9月の衆議院議員選挙京都4区で初当選。衆院農林水産常任委員会所属。
__著書に『北朝鮮からのメッセージ』(社団法人光の家協会出版)『弱みを強みに生きてきた』(PHP出版)などがある。