平成20年6月に改正された特定商取引法が
平成21年12月1日より施工

平成20年6月に改正された特定商取引法が平成21年12月1日より施工されるのを受けて、9月15日に近畿経済産業局消費経済課を谷尻順一(会長)、寺本健(副会長)、阪本嘉須彦(理事)、乳業会社、販売店代表の9名で訪れた(質問事項は事前に送付)。

(親切丁寧に対応して頂いたことに感謝いたします。ありがとうございました。)

【項目】
1.事業者の氏名等の明示について
2.契約締結時の書面の交付について
3.禁止行為について
4.再勧誘の禁止について
5.クーリンク・オフについて
6.過量販売の禁止について
7.電話勧誘販売・通信販売について

【参考資料】
・特定商取引法とは
・特定商取引法の対象となる取引類型
・法律の内容
・特定商取引法改定のポイント
・行政規制の内容<勧誘規制型>
・民事ルールの内容
・行政処分・罰則等
・訪問販売に係る交付書面

【 特定商取引法改正についての質問事項 】

T、牛乳販売店の宅配牛乳等の家庭配達サービスの勧誘方法について(一般例)
現状は、一般的に牛乳販売店は次のやり方で勧誘活動を行っています。
@ 家庭を訪問、試供品(無料)をおすすめする
試供品おためしにご了承いただいた方には、試供品を数本お渡しし、数日後の再訪をお約束する。
A 数日後、家庭を訪問。試供品の感想等をお聞きした上で、宅配サービスの契約をお願いする。
(@の試供品をおためしいただいた家庭のうち、Aで契約に至る割合は平均3〜10%くらいです。)


                   
U、質問事項
_
(1)事業者の氏名等の明示について
@の初回訪問、試供品おすすめ時には、インターホンでの会話から勧誘が始まることが多い。   (勧誘に先立っての事業者の氏名等の表示は、インターホンでの会話で行わなければならないことが多いと想定される。)    インターホン越の第一声で、次の言い方は大丈夫か?
a.「○○牛乳店(事業者名)の△△(氏名)と申します。
宅配牛乳のご紹介にあがりました。」
b.「○○牛乳店(事業者名)です。
宅配牛乳のご紹介にあがりました。」(氏名を名乗らない。)
c.「XX牛乳(メーカー名・ブランド名)の△△(氏名)と申します。
宅配牛乳のご紹介にあがりました。」     
(XX例:メグミルク・明治牛乳・森永牛乳など)
d.「○○牛乳店(事業者名)の△△(氏名)と申します。宅配の新商品の紹介で無料サンプルをお持ちしました。」
勧誘を意識づける言葉を使用しなくてはなりません。初回訪問で販売目的を明確に伝えましょう。
『ご紹介』よりも『おすすめ』が良いでしょう。



(2)契約締結時の書面の交付について
具体的にどこまで必要か?どんな書き方をすればよいか?
一般的に、現状では次の事項は牛乳販売店のお客様にお渡しする書面に言及されていないことが多い。
・商品の引渡し時期(権利の移転時期・役務の提供時期)
・契約の申し込みの撤回(契約の解除)に関する事項
・クーリンク・オフについての事項(後述)
申込を受けた際にその売買契約を締結したときは、契約書面のみでもOKです。
【訪問販売に係る交付書面】の項目を参照して下さい。

    
(3)禁止行為について
何が威迫・迷惑行為に当たるのか、具体的なガイドラインは?    
たとえば、次の事例は威迫・迷惑行為に当たるのか?
夜の○○時以降に勧誘する(例:PM8:00時以降のアポ無し訪問等)。
お客様から特段帰ってほしいという意思表示がなかったので、2時間に亘って勧誘を続けた。
「骨密度測定会」・「無料試飲会イベント」等の不特定多数の人を集客するイベントを販売店やメーカー独自の  企画として開催し、その場で試供品を配布することがあるが、そのイベント告知(ポスターやチラシ等)にも  「宅配サービスをおすすめすることがある」旨の文言を入れる必要があるか?
時間的なものは迷惑勧誘防止条例に触れる場合があります。
アポイント商法の範疇になるのでは?と思われます。「宅配サービスをおすすめすることがある」旨の文言を入れ ればベストです。

         
(4)再勧誘の禁止について
牛乳で勧誘し断られたお客様に、ヨーグルトで勧誘した場合は再勧誘に当たるのか?
再勧誘の禁止の期間は商品や契約の内容ごとに、社会通念に照らして決められると聞いているが、牛乳宅配サービスの場合はどれくらいになるか?
相手様が『牛乳は要らない』、『乳製品は要らない』の言葉によって代わりますが数か月後の再訪問はOKです。
次のような場面も想定されます。相手様が牛乳の宅配勧誘を一度断った後に別の「○○牛乳店の△△(氏名)と申します。」日を置かずして又別の「XX牛乳店の△△(氏名)と申します。」となった場合はどうでしょう?。『断ったのに又か!』となりますよね。微妙でファジーな部分です。消費者の立場に立って相手様を不愉快にさせない対応も必要でしょうね。

    
(5)クーリンク・オフについて
健康食品等、いわゆる消耗品などで、使用または一部を消費した場合、クーリンク・オフ規定の適用除外とされているが宅配牛乳等は、クーリンク・オフが適用されるのか?
適用されます。

    
(6)過量販売の禁止について
通常、宅配サービス利用者の利用料金は3000円〜10000円/月くらいが一般的であるが、20000円を超えることもある。牛乳宅配サービスの過量販売の基準は出せるか?
はっきりした数字の基準はありません。牛乳の場合、常識的に考えてご家族構成から消費出来ない量は分かると思います。

    
(7)電話勧誘販売・通信販売について
電話・インターネット・DM等を営業に活用する牛乳販売店があるが、消費者とファーストコンタクトをとったあとは、直接訪問して勧誘活動・契約締結するやり方が一般的である。この場合、「電話勧誘販売」・「通信販売」にはあたらず、「訪問販売」であるという理解で問題ないか?
訪問して勧誘活動・契約締結となりますので訪問販売にあたります。

------------- 以上 -------------


特定商取引法とは

特定商取引法(旧称「訪問販売法(訪問販売等に関する法律)」)は、訪問販売や通信販売等、以下に挙げる消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に、事業者が守るべきルールと、クーリング・オフ等の消費者を守るルールを定めています。これにより、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止するとともに、消費者の利益を守るための法律です。

特定商取引法の対象となる取引類型

1.訪問販売
自宅へ訪問して行う取引、キャッチセールス(路上等で呼び止めた後、営業所等に同行させて行う取引)、   アポイントメントセールス(電話等で販売目的を告げずに事務所等に呼び出して行う取引)等のこと。
2.通信販売
新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申し込みを受ける取引のこと。   「インターネット・オークション」も含みますが、「電話勧誘販売」に該当するものを除きます。
3.電話勧誘販売
電話で勧誘し、申し込みを受ける取引のこと。   電話をいったん切った後、消費者が郵便や電話等によって申し込みを行う場合にも該当します。
4.連鎖販売取引
個人を販売員として勧誘し、さらに次の販売員を勧誘させるというかたちで、   販売組織を連鎖的に拡大して行う商品・役務(サービス)の取引のこと。
5.特定継続的役務提供
長期・継続的な役務(「えきむ」と読み、いわゆるサービスを意味します)の提供と、これに対する高額の対価を約する取引のこと。現在、エステティックサロン、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の6つの役務が対象とされています。
6.業務提供誘引販売取引
「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のこと。

法律の内容

(1) 行政規制
特定商取引法では、事業者に対して、消費者への適正な情報提供等の観点から、各取引類型の特性に応じて、以下のような規制を行っています。特定商取引法の違反行為は、業務改善の指示や業務停止命令の行政処分、または罰則の対象となります。

・氏名等の明示の義務づけ
特定商取引法は、勧誘開始前に事業者名や、勧誘目的であることなどを消費者に告げるよう業者に義務づけています。
・不当な勧誘行為の禁止
特定商取引法は、不実告知(虚偽の説明)や、重要事項(価格・支払い条件等)を故意に告知しなかったり、消費者をおどして困惑させたりする勧誘行為を禁止しています。
・広告規制
特定商取引法は、業者が広告をする際には、重要事項を表示することを義務づけ、また、虚偽・誇大な広告を禁止しています。
・書面交付義務
特定商取引法は、契約締結時等に、重要事項を記載した書面を交付することを事業者に義務づけています。

(2) 民事ルール
特定商取引法は、消費者と事業者との間のトラブルを防止し、その救済を容易にするなどの機能を強化するため、消費者による契約の解除(クーリング・オフ)、取り消しなどを認め、また、事業者による法外な損害賠償請求を制限するなどのルールを定めています。

クーリング・オフ特定商取引法は、「クーリング・オフ」を認めています。クーリング・オフとは、申し込みまたは契約後に法律で決められた書面を受け取ってから一定の期間(※)、消費者が冷静に再考して、無条件で解約することです。(※)訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供においては8日間、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引においては20日間。通信販売には、クーリング・オフに関する規定はありません。
・意思表示の取消し
特定商取引法は、事業者が不実告知や重要事項の故意の不告知等の違法行為を行った結果、消費者が誤認し、契約の申し込み、またはその承諾の意思表示をしたときには、消費者は、その意思表示を取り消すことを認めています。
・損害賠償等の額の制限
特定商取引法は、消費者が中途解約する際等、事業者が請求できる損害賠償額に上限を設定しています。

特定商取引法改定のポイント

規制の抜け穴の解消
別法で消費者被害の是正等が出来るものを除き、原則全ての商品・役務を扱う取引(訪問販売、通信販売、電話勧誘販売)を規制対象に。→指定商品・指定役務を撤廃
その上で、書面交付やクーリング・オフになじまにい商品・役務等は、当該規制から除外。
割賦の定義を見直し、2ケ月以上後の1回払い、2回払いも規制対象に。  (現行は3回払い以上)
訪問販売規制の強化
訪問販売業者に当該契約を締結しない旨の意思を示した消費者に対しては、契約の勧誘をすることを禁止。
訪問販売によって通常必要とされる量を著しく超える商品等を購入する契約を結んだ場合、契約後1年間は契約の解除等が可能に。
クレジット規制の強化
個別クレジット業者が訪問販売等を行う加盟店の行為について調査することを義務付け、不当な勧誘があれば消費者へ与信することを禁止。
訪問販売等による売買契約が虚偽説明により取り消される場合や過量販売で解除される場合、個別クレジット契約も解約し、消費者が既に支払ったお金の返還も請求可能に。
クレジット業者に対し、指定信用情報機関を利用した支払能力調査を義務づけるとともに、支払能力を超える与信を禁止。
インターネット取引等規制の強化
返品の可否・条件・送料負担を広告に表示していない場合は、8日間、送料消費者負担で返品(契約の解除)が可能に。
消費者があらかじめ承諾しない限り、電子メール広告の送信を禁止。→H20.12.1施工
個人情報保護法でカバーされていないカード情報の漏洩や不正入手した者を刑事罰の対象に。
罰則の強化・自主規制の強化
違反事業者に対する罰則を強化
クレジット取引の自主規制等を行う団体を認定する制度を導入
訪問販売協会(既存制度)による自主規制の強化。



訪問販売


    
■行政規制の内容<勧誘規制型>
1. 氏名、販売目的等の明示義務(法第3条)
@「自らの氏名又は名称」
A「契約の締結について勧誘をする目的である旨」
B「販売しようとする商品の種類」を告知。
2. 契約しない旨の意思表示をした者への勧誘の禁止(法第3条の2)
3.書面の交付義務(法第4条:申込み書面、法第5条:契約書面)
・申込み書面 → 直ちに(その場で)
・契約書面 → 遅滞なく(通常3〜4日以内)
4. 勧誘及び解除に係る禁止行為(法第6条)
(1) 不実告知(第1項)
@商品の種類・性能・品質又は権利若しくは役務の種類・内容その他(省令6条の2)
・効能 ・商標又は製造者名 ・販売数量 ・必要数量 ・役務又は権利の効果
A販売価格又は役務の対価      
B支払時期及び方法      
C引渡し時期      
D申込みの撤回・解除に関すること      
E契約締結に必要とする事情に関すること      
Fその他判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの
(2) 重要事項不告知(第2項)
・上記@〜D
(3) 威迫・困惑(第3項)
(4) 勧誘であることを告げずに公衆の出入りしない場所での勧誘(第4項)
5. 指示の対象となる行為(法第7条)
(1) 債務の履行拒否又は不当延延(第1号)
(2) 顧客等の判断に影響を及ぼす重要事項の故意の不告知(第2号)
(3) 通常必要とされる量を著しく超える商品等の契約の締結の勧誘(第3号)
(4) その他利益を害するおそれのあるもの
@迷惑勧誘及び迷惑妨害(省令第7条第1号)
A老人等の判断力の不足に乗じた契約の締結(第2号)
B顧客の知識、経験、財産状況に照らして不適当な勧誘(第3号)
C書面虚偽記載(第4号)
D生命保険契約等に同意する旨記載されているものに署名又は押印させること(第5号)
E顧客の進路の立ちふさがり、つきまとい(第6号)
F解除を妨げるため商品を使用、消費させる行為(第7号)

■民事ルールの内容
1. クーリング・オフ(法第9条:法定書面交付後8日間は無条件解約を認める。)
2. 通常必要とされる分量を著しく超える商品等の契約の撤回(法第9条の2)
3. 不実告知、重要事項の故意の不告知があった場合の契約の意思表示の取り消し(法第9条の3)
※取消権は、追認できるときから6月又は契約後5年経過したした時は時効。
4. 損害賠償額等の制限(法第10条)
・商品が返還された場合、通常の使用料の額
(販売価格から転売可能価格を引いた額が、通常の使用料の額を超えているときにはその額)
・商品が返還されない場合、販売価格に相当する額
・商品をまだ渡していない場合、契約の締結や履行に通常要する費用の額これらに法定利率年6%の遅延損害金が加算されます。

    
■行政処分・罰則等
上記のような行政規制に違反した事業者は、業務改善の指示(法第7条)や業務停止命令(法第8条)の行政処分のほか、罰則(法第70条〜第76条)の対象となります。

特定商取引法の詳細等は⇒消費生活安心ガイドをご覧下さい。

                             
■訪問販売に係る交付書面
1. 交付書面(申込書面・契約書面):法第4条、第5条、省令第3条〜第6条
※申込を受けた際にその売買契約を締結したときは、契約書面のみでよい。
@商品の販売価格
A代金の支払期日及び方法
B商品の引渡時期
Cクーリング・オフに関する事項
※現金取引で総額3,000円未満のときクーリング・オフができないこととする場合はその旨を記載すること
<商品の売買契約>
A.申込書面を受領した日から8日を経過するまでは、申込者は書面により契約申込の撤回又は契約の解除が出来ること。
B.申込者等が不実告知により誤認をし、又は販売業者の威迫により困惑し、契約申込の撤回又は契約の解除を行わなかった場合には、経済産業省令で定めるところにより契約申込の撤回等行うことができる旨を記載した書面を受領した日から8日を経過するまでは、書面により契約申込の撤回又は契約の解除が出来ること。
C.契約申込撤回又は契約解除は書面を発した時に効力が生ずる。
D.損害賠償又は違約金の支払を請求することができないこと。
E.商品などの引渡しが既にされているときは、その引取りに要する費用は販売業者の負担とすること。
F.代金の支払われているときは、速やかに全額返還すること。
Dその他
A.販売事業者の氏名(名称)、住所及び電話番号、法人の場合は代表者氏名
B.契約の締結を担当した者の氏名
C.契約の締結年月日
D.商品及び商標又は製造者名
E.商品の型式又は種類
F.商品の数量
G.瑕疵責任(販売業者が責任を負わないと定めていないこと。)
H.契約解除の定めがあるときはその内容
(契約の解除ができないと定めていないこと。販売事業者の責に帰すべき事由により解除された場合は、購入者等に不利な内容が定められていないこと。)
I.特約条項(法令にに違反する特約が定められていないこと。)
※書面の内容を十分読むべき旨を赤枠の中に赤字で記載すること。
※書面には日本工業規格Z8305に規定する8ポイント(2.811mm±0.03mm)の以上の大きさの文字及び数字を使用すること。
※クーリング・オフに関する事項は赤枠の中に赤字で記載しなければならない。
2. 契約の申込みの撤回等の妨害後の交付書面(省令第7条の2)
@商品又は権利の販売価格は又は役務の対価
A法第9条第1項第1号の規定に基づき、当該書面を受領した日から起算して8日を経過するまでは、書面により売買契約もしくは役務提供者の申込みの撤回又は売買契約若しくは役務提供契約の解除を行うことができること。
Bクーリング・オフに関する事項
<商品の売買契約>
A.契約申込撤回又は契約解除は書面を発した時に効力が生ずる
B.損害賠償又は違約金の支払を請求することができないこと。
C.商品などの引渡しが既にされているときは、その引取りに要する費用は販売業者の負担とすること。
D.代金の支払われているときは、速やかに全額返還すること。
C販売事業者の氏名(名称)、住所及び電話番号、法人の場合は代表者氏名
D契約の締結を担当した者の氏名
E契約の締結年月日
F商品及び商標又は製造者名
G商品の型式又は種類
H商品の数量
※書面には日本工業規格Z8305に規定する8ポイント(2.811mm±0.03mm)の以上の大きさの文字及び数字を使用すること。
※A及びBは赤枠の中に赤字で記載
※様式第1を使用する。
※A及びBの内容を告げて交付する。