紙容器やビンに詰められて、市販されているほとんどの牛乳は、牛から搾られた生乳を原料として殺菌処理しています。 「搾乳〜製品イメージ」提供_:_栃木県三和酪農業協同組合 酪農家で飼われている乳牛は、朝と夕の2回ミルカーによって搾乳され、直ちに冷却しバルククーラーと呼ばれる貯乳施設で冷却保存されます。
わが国では、殺菌について食品衛生法の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)により、62〜65℃で30分間加熱殺菌するか、またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること」と定められています。 牛乳の殺菌方法は大きく分けて 【牛乳のホモゲナイズ】 市販されている牛乳がクリーム分離(クリームライン)を起こさず、安定した成分のまま提供されるため、また、消化吸収をよくするために、乳脂肪中の脂肪球を細かく砕き、分離・浮上するのを防ぎ安定した状態にすることを均質化(ホモゲナイズ)といい ます。 この処理で、ホモジナイズしない牛乳よりも少し薄くなったように感じます。 よく農家の搾りたての牛乳と市販牛乳は味が違うという声を耳にしますが、原因はこれです。 わが国は1935年頃からこの方式が導入されて以来、牛乳の殆どが「ホモゲナイズミルク」として販売されています。しかし逆に「ノンホモ」としてホモゲナイズしていない牛乳も、商品多様化の一環として販売されています。時間が経過すると乳脂肪分(クリームライン)が浮上しますが、これを特色としているわけです。 牛乳の脂肪球の粒子は3〜7ミクロン(1/1000o)ですが均質化することにより、1ミクロン以下になります。 【公正マークについて】 公正マークとは、消費者の適性な商品選択ができることと、乳業界の公正な競争を確保することを目的として設定されたものです。 このマークの表示された製品は「飲用乳の表示に関する公正競争規約」にもとづいて製造された飲用乳であることを証明し、その製品の中身について容器やキャップに正しい表示がなされている事を示します。 この公正競争規約は、1968年に制定された、乳業界の自主規制で「不当景品及び不当表示防止法」の規定により公正取引委員会の認定を得て作られました。 この規約では、飲用乳の表示項目を「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」や計量法にもとづき、一括表示には、商品名、種類別、主要原料名(加工乳、乳飲料)殺菌温度及び時間、期限表示、内容量、製造所及び住所、要冷蔵、公正マークなどを記載し、表示位置、活字の大きさ、禁止事項など細かく規定されています。 この規約の運営は全国飲用牛乳公正取引協議会が行い、規約に従い適性な表示をしていると認められる製品に公正マークが表示されます。マークがついている製品に対して、成分、内容量など年4回自主的に認定検査機関が、更に協議会では、随時市販品の試買検査を行うと共に、デザイン及び表示事項についてもチェックをしています。
【総合衛生管理製造過程(HACCP)マークについて】 HACCPシステムとは、牛乳を製造するに当たり、原料乳の受入れから製品が出来上がるまでの一連の製造過程において、製品の安全を確保するために、特に重点的に管理する必要な箇所、例えば殺菌工程など重要管理点(CCP)と定め、細かい管理基準、監視システムを集中的に管理し、その管理内容の全て記録する方法です。 HACCPは、Hazard Analysis and Critical Control pointの頭文字をとったもので、危害分析・重要管理点と訳され、米国航空宇宙局(NASA)が宇宙食の衛生・安全管理を行う目的で考案されました。総合衛生管理製造過程は、危害防止をするため、このシステムの考えを牛乳の製造に応用したものです。 総合衛生管理製造過程は、このHACCPシステムを基礎とした牛乳の衛生管理方法で、食品衛生法第7条に基づき厚生大臣により承認を受けた工場のみがパックに記載することができます。この制度は1998年より承認されました。 |