【カルシウム】は誰が見つけたの・・・?


___1808年6月、ハンプリ・デイビー(Humphry Davy)はロンドンの研究所で、石灰と酸化水銀の混合液に自分で作った大きな電池で通電してアマルガムをつくり、蒸留して水銀を除いた後に、少量の銀色に輝く灰白色粉末としてはじめてカルシウムを分離した。


___細胞の基本的な機能である情報伝達に、カルシウムが不可欠であることをはじめて認めたのはSidney Ringerであった。

___カルシウムは地表にあまりにも多く存在するので、その発見に至る経路は共存する不純物や妨害物質を取り除き、前からそこにあったカルシウムを確実に認識できるようになった過程であるともいえる。

___Ringerがカルシウムの心収縮における重要な役割を発見したのも劇的といえる幸運に基づくものであった。

___ロンドンの水道水に大量のカルシウムの含まれていることを知らなかったRingerは、蛙(カエル)の心臓を持続して収縮させるには生理的濃度の食塩水で十分であると考えていた。
___実験助手の怠慢から水道水に食塩を加えて使っていたRingerは、ある日自分で蒸留水をつくりこれに食塩を加えて蛙(カエル)の心臓が動かないことを知って驚いた。

ロンドンの水道水の中の心臓の収縮を支える未知の物質、
これが【カルシウム】であった。

___Heilbrunにより細胞の生命にカルシウムが不可欠であることがその後次第に明らかとなった。

【引用文献】”カルシウムの本” 藤田拓男:神戸大学名誉教授