ホモゲナイズ(均質化)された牛乳は乳脂肪が酸化されて「錆(さ)びた脂(あぶら)」になっていて、からだに悪いのですか?

とんでもない話

そんなことはありません。

牛乳をホモゲナイズしても乳脂肪の酸化は進みません。

「錆びた脂」などになることもなく、体に悪い影響を与えることもありません。


ホモゲナイズは牛乳工場の製造工程において乳脂肪を高い圧力で砕いて細かくすることで、脂肪が浮上してクリームが分離してしまうことを防止することと、消化吸収されやすくすることを目的とするものです。

ホモゲナイズにより乳脂肪は小さな球形になり、その表面積は増えますが、乳たんぱく質(カゼインやホエイたんぱく質)でおおわれ[注1]、酸化されにくい状態にありますので酸化された脂肪(過酸化脂質)が増えることはありません。

過酸化脂質は多価不飽和脂肪酸が酸化される過程において生成する物質ですが、乳脂肪は他の一般的な大豆油やコーン油などよりも多価不飽和脂肪酸が少なく[注2]、酸化しにくい脂肪と言えます。

念のため、原料生乳の乳脂肪と製品になった紙パック入り牛乳の乳脂肪の酸化の程度(過酸化物価)を測定した結果、まったく差がありませんでした[注3]。ホモゲナイズにより乳脂肪の酸化が進むことはありません。


[注1]林弘通・福島正義著「乳業工学 1998年」(幸書房)36ページ
[注2]文部科学省「五訂増補日本食品標準成分表」
[注3]財団法人日本食品分析センター2006年 分析結果