最近30年でアトピー・花粉症が増えたのは、学校給食牛乳の普及のせいなのですか?

とんでもない話

そんなことはありません。アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎・花粉症などのアレルギーは食品だけではなく、花粉・ダニ・昆虫・建材・排気ガス・チリ・ほこり、さらにストレスなどに起因します[注27]。

アトピー性皮膚炎の有症率は1992年の17.3%から2002年には13.8%へと減少しています[注28]。一方、花粉症は近年増加していますが学校給食の牛乳が原因とされる報告は全くありません。アトピーや花粉症が単純に学校給食牛乳に起因するという主張に科学的根拠は全くなく、非科学的な憶測としか言えません。

食物アレルギーのアレルゲンは、主に食品中のたんぱく質であり、症例数が多いものとして卵・乳・小麦が、症状が重篤なものとして、そば・落花生が「特定原材料」として原材料表示が法令で義務づけられています[注29]。

牛乳アレルギーは、乳幼児において消化機能と免疫機能が未発達なためアミノ酸にまで分解されずに残った牛乳たんぱく質の一部が体内に取り込まれてアレルゲンとなり、それに対する抗体ができることにより発症します。そのため、1歳未満の乳幼児には牛乳を与えないほうが良いとされていますが、一歳以上の場合、症状は比較的軽く多くは2〜3歳までに治癒し成人まで続くことはまれです[注30]。


[注27]「アレルギー疾患ガイドブック2004」(東京都)7ページ
[注28]西日本小児アレルギー研究会・有症率研究班「日本小児アレルギー学会誌」2003年17巻3号255-268ページ
[注29]厚生労働省ホームページより
[注30]小林陽之助監修「食物アレルギーの治療と管理」2004年(診断と治療社)156ページ