日本人の高脂血症は約2,000万人といわれています。高脂血症も自覚症状がないため、未治療の患者さんも少なくありません。最近では、高脂血症は中高年だけでなく、子どもや若者にも増加してしているのは、油脂に加えて糖質の多い清涼飲料やアルコールの過剰摂取などが大きな原因となっています。
高脂血症には、総コレステロール値が高い高コレステロール血症、中性脂肪が高い高トリクリセリド血症、悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロール値が高い高LDLコレステロール血症があります。
高脂血症は肥満、糖尿病、高血圧を合併すると動脈硬化を促進し、心筋梗塞を招く「死の四重奏」となります。
牛乳には脂質が含まれるため、その摂取はコレステロール値を上昇させるように思われますが、いくつかの調査によると1日600ml程度までは、血清コレステロール値を上昇させないことがわかっています。
日本人には高血圧の人が3,000万人もいるといわれています。高血圧の85〜90%を占めるのが本態性高血圧で、加齢とともに患者数が増えてきます。本態性高血圧の発症には、遺伝的素因と環境要因が影響しています。環境要因には、肥満、塩分の過剰摂取のほか、運動不足、喫煙、ストレスなどが挙げられます。
牛乳にふくまれているカルシウムが、高血圧を予防することが疫学調査で明らかになっています。ただし、そのメカニズムは解明されていません。
また糖尿病、高脂血症、高血圧などによって動脈硬化が進み、心疾患(心筋梗塞・狭心症)を発症しますが、牛乳・乳製品の摂取は、心疾患のリスク要因にはならないことが、欧米の疫学調査で明らかになっています。
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