はじめに

牛乳は今も昔も栄養面で最も優れた食品のひとつです。それは人間に必要なさまざまな栄養素がバランスよく摂れるからですが、近年はともすれば日本人の食事に不足しがちなカルシウムを豊富に摂れることが脚光を浴びてきました。他方、他のさまざまな食品に含まれる微量成分の働きが次々と発表され、これらを含むあるいは添加した食品の効能が宣伝されるにいたって、カルシウム以外の効能が忘れ去られている感があります。

さらには、痩身願望の人たちの間に「栄養=カロリー」と短絡して「牛乳は太る」という迷信が蔓延しているばかりか、極端な事例を言いたてて牛乳有害論を唱える人さえ出てきました。

この冊子は「牛乳と健康」について、冷静で客観的・科学的に最新の正しい情報についてまとめた問答集です。牛乳のすばらしさが再認識できると思います。

飽食の時代、他の食品から流されるさまざまな栄養情報に負けない正しい情報を提供しなければ消費は逃げていってしまいます。さいわい牛乳はヒトの健康に有用な成分が豊富であり、知れば知るほど飲みたくなるものだと確信します。

この冊子が消費者と接する最前線にいる皆様の牛乳と健康についての理解を深め、その業務にお役に立てば幸いに存じます。

最後になりましたが、制作をご担当いただいた先生方のご協力に対し、厚く御礼申し上げます。

平成17年3月

社団法人 日本酪農乳業協会
牛乳・乳製品健康づくり委員会
委員長 海野 研一