Q13
牛乳のカルシウムは腎臓結石と関係があるのですか?

腎臓結石の予防にはカルシウムとシュウ酸を含む食品を同時に摂取すると効果があるという報告が出されています。

腎臓結石の大部分は、シュウ酸カルシウムの結晶です。食品で摂ったシュウ酸は体内に吸収され、腎臓から排泄される際に、カルシウムと結合して結石ができます。したがって長年、腎臓結石の予防には牛乳・乳製品などのカルシウムを豊富に含んだ食品の摂取を控えるように指導されました。欧米ではカルシウム摂取量を1日400mg(摂取の目安量(【資料】参照)は700〜1,200mg)に制限することもまれではありませんでした。

しかし、最近の研究では、カルシウムの制限が腎臓結石の予防に結び付かないということが明らかになってきました。

腎臓結石を予防するにシュウ酸を多く含んだ食品を摂取するときに、同時にカルシウムを摂ると効果的であるという報告が出されています。シュウ酸とカルシウムを同時に摂取すると、腸管内でカルシウムがシュウ酸塩を中和し、シュウ酸塩の吸収を抑制します。そこで、シュウ酸塩の尿中濃度が低下して、腎臓で結石ができにくくなるというものです。例えば、シュウ酸の多いコーヒー、紅茶、ナッツ、チョコレートには牛乳・乳製品を、ほうれん草、小松菜のおひたしには鰹節を組み合わせて摂ると、結石の予防につながります。

低カルシウム食では、腎臓結石の予防効果よりも、骨密度の低下をもたらします。
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1998年にTrinchieriによって発表された腎臓結石患者(男性、48名)の骨密度と食事摂取の関係についての調査では、低カルシウム食では、将来の腎臓結石の予防効果よりも、骨密度の低下をもたらすと述べています。