Q15
日本人には乳糖不耐症が多いといわれますが?

乳糖の摂取と下痢発生の実験で、<BR>乳糖30g(牛乳600ml)では、下痢発生は0%40g(牛乳800ml)で11%でした。

牛乳を飲むことによって、お腹が張る、ゴロゴロする、下痢をするなどの症状が現れるのを乳糖不耐症と呼んでいます。乳糖不耐症は、乳糖の分解酵素ラクターゼが先天的に欠乏しているか、活性が低いために乳糖が消化・吸収されずに大腸に送り込まれるために起こります。乳糖不耐症は白人に比べて有色人種に多くみられます。

分解酵素ラクターゼの活性は、一般的に離乳期以降低下します。

分解酵素ラクターゼの活性は、一般的に離乳期以降低下します。成人でのラクターゼ活性は、最大活性時(乳児期)と比べて著しく低下しますが、けっしてゼロになるわけではなく、一時に大量の乳糖(牛乳)を摂取するのでなければ、ある程度分解できます。

乳糖不耐症診断基準では、欧米では乳糖50g(牛乳コップ5杯<1000ml>相当量)を、日本では乳糖30g(牛乳コップ3杯<600ml>相当量)を一気に摂取したときの血糖値を計測して診断します。

奥氏によって乳糖の摂取量と下痢発生に関する研究が報告されています。胃腸障害がなく、下痢や便秘症状を持たない健康人49名を対象に、乳糖を30g、40g、50g、60gを摂取してもらい下痢発生の頻度を検討しました。その結果、30gでは下痢は観察されず、40gで11%、50gで39%、60gで55%に下痢が発生しました。ただし、乳糖を50g、60gをすることは、実生活においてはありえないことです。

また日本酪農乳業協会の調査では、牛乳を飲むといつもお腹の調子が悪くなる人は6%、ときどき悪くなる人は8%弱です。ただ、牛乳を飲んでお腹が張ったり、ゴロゴロしたりするのは、腸内細菌が乳糖を発酵分解するためです。この分解能以上摂取すると下痢を起こすことがあります。このような症状を起こす人が、すべて乳糖不耐症というわけではありません。冷たさに対する過敏反応のケースもあります。