Q16
乳糖不耐症の人が牛乳を飲むためには、どんな工夫をすればよいのですか?

人肌に温めて少量ずつ飲んだり,コーヒー、紅茶に入れて飲むのも良い方法です。

牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる人が、どんな工夫をして飲んでいるかを調べた結果が報告されています(図)。温めて飲むが43.8%で最も多く、以下飲む量を控えめにする37.0%、コーヒーと混ぜる32.3%、ココアと混ぜて飲む17.9%などです。

人肌くらいに温めてゆっくり飲むと、胃腸に冷たい刺激を与えずにすみ、乳糖の分解酵素の働きも盛んになります。乳糖不耐症を改善するには、調査にあるように摂取量を少量ずつから始めて徐々に量を増やしてみたり、1日に何回かに分けて飲む、コーヒー、紅茶なとに混ぜて飲むなどの工夫をしてみてください。

繰り返し乳糖を摂取すると下痢などの症状出現の可能性が減ってきます。

このことは乳糖不耐症に関する研究で実証されています。乳糖不耐症の人が10日間規則的に乳糖を摂取すると、不耐症の発症頻度か50%軽減したという報告があります。繰り返し乳糖を摂取すると、小腸のラクターゼ活性が誘導されるとともに、乳糖を発酵分解する腸内細菌が増殖するために下痢などの症状出現の可能性が減ってきます。乳糖を好んで分解する腸内細菌は有用菌で、ガス産生が少ないのでお腹のゴロゴロや張りなども徐々におさまります。

なお、乳糖をあらかじめブドウ糖とガラクト−スに分解してある乳飲料も市販されています。またヨーグルトは乳酸菌による発酵によって、乳糖が20〜30%分解されて減少しており、チーズは製造過程で乳糖の大部分がホエ−(乳清)たんぱく質に移行して取り除かれているので、牛乳で下痢をする人にも勧められます。