Q19
牛乳は中耳炎と関係があるのですか?

乳幼児の中耳炎の発症にはさまざまな要因が関与しており、<BR>牛乳との関わりでは授乳する際の乳児の姿勢に問題があります。

中耳炎は乳児に多くみられる一般的な病気です。海外データですが、2歳未満では80%が罹り、また2/3の子どもは、3歳までに少なくとも1回は中耳炎に罹るといわれています。乳幼児の中耳炎の発症には、上部呼吸器感染、耳管の機能不全、外的な要因として家族による喫煙などが関わっています。

中耳炎は、鼓膜の奥(中耳腔)に細菌が入り込み炎症を起こす病気です。海外データですが、1〜2歳時における中耳炎の平均罹患期間は、12ヵ月齢まで母乳栄養であった児のほうが、人口栄養であった児に比べて短かったと報告されています。その原因として、母乳中には母親から移行した免疫抗体が含まれていることと、母乳を与えるときの姿勢のふたつが考えられます。

哺乳瓶でミルクを与える場合、母乳を飲ませるときと同様に乳児を立てた姿勢で与えるのが望ましいです。

母乳は乳児を立てた姿勢で抱いて飲ませますが、哺乳瓶の場合には、母乳を飲ませるときの姿勢と異なり、多くは乳児を上向きに抱いて与えます。上向きの姿勢では、乳が中耳の中に逆流する可能性があります。図のように乳幼児では、成人に比べて耳管が太く、短く中耳への傾斜も水平に近いために、逆流しやすくなっています。その結果、局所的な炎症を起こし、中耳炎を発症するものと考えられます。人口栄養における中耳炎の発症を極力抑制するためには、ミルクは母乳を飲ませるときと同様に、乳児を立てた姿勢で与えるのが望ましいです。

牛乳そのものを乳児期早期に与えることは好ましいことではありませんが、海外で6ヵ月齢から牛乳を与えた乳児と乳児用調製乳を与えた乳児の中耳炎の発症頻度が比較検討され、両者間では有意な差が認められなかったと報告されています。