Q24
牛乳は1型糖尿病と関係があるのですか?

牛乳と1型糖尿病の関連は疫学的にも証明されていませんし、その関係を否定する研究報告も出ています。

糖尿病には1型(インスリン依存性)糖尿病と2型(インスリン非依存性)糖尿病があります。1型はインスリンの分泌量が低いか、またはない人で発症し、2型は肥満などが原因で耐糖能が低下して発症します。1型糖尿病の発症頻度には著しい人種差があり、日本人の発症率は低く日本糖尿病学会の調査によると、人口10万人1.5人(1986〜90年)でした。また同調査では、1986〜90年では発症率に変化はないとしています。

牛乳が1型糖尿病の発症に関与しているという主張が一部にありますが、その論拠は、人口栄養児において、乳児用調製乳に含まれている牛乳たんぱく質のひとつである牛血清アルブミンが、膵臓のインスリンを分泌する細胞を障害して、1型糖尿病を発症するというものです。

乳児用調製乳の生産量の増減と1型糖尿病の発症頻度には相関が認められません。
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北川氏は、乳児用調製乳の生産量と1型糖尿病の発症頻度についての研究を報告しています。わが国の母乳栄養の比率は、昭和30年代前半は60%でしたが、人口栄養が進歩して普及したため、その後急激に低下して30%以下となり、昭和47、48年には20%以下になった地域もあったといわれています。昭和50年以降は、母乳栄養が見直され再び増加しています。乳児用調製乳の生産量は、この母乳栄養の動向に影響されて増減しています(図)。

もし、乳児用調製乳に含まれる牛血清アルブミンが1型糖尿病の原因であるならば、出生時期が昭和30年前半、昭和45〜50年、昭和50年以降で、発症頻度が違ってくるはずですが、そのような傾向は認められていません。なお、日本では1型小児糖尿病は、牛乳たんぱく質と関連していないという研究報告も出されています。