Q26
牛乳には便秘を予防する作用があるって本当ですか?

牛乳に含まれる乳糖には、便秘を解消する働きがあります。<BR>また、κ−カゼインやオリゴ糖は善玉菌を増やして腸内環境を改善しす。

ヒトの腸内には約100種類、100兆個の細菌が生息しています。これらの細菌は腸内で相互に関係して生命維持に欠かすことのできない生態系を形成しています。腸内細菌には消化・吸収を助けて腸内をきれいに浄化する善玉菌と、腐敗物質をつくりからだに害を及ぼす悪玉菌の2種類があり、お互いに拮抗しあっています。

牛乳に含まれる乳糖は難消化性であるため、一部は未消化のまま大腸に達し、そこで腸内細菌によって発酵を受け、有機酸を生じます。有機酸のあるものは大腸壁細菌の栄養源となり、腸内のpHを酸性側に傾かせて、いわゆる善玉菌優位の腸内環境をつくりあげます。これらの有機酸は、回腸や大腸を刺激し腸の蠕動運動を高め、便秘の解消に寄与しています。また乳糖は腸内の浸透圧を高め、平衡化するために周囲から水分を取り込み、腸内の内容物を軟らかくする働きもあり、スムーズな排便を促進します。

善玉菌を増やすことが、生活習慣病やがんの発生を防ぎ、老化を遅らせることが解明されてきました。

最近の研究では悪玉菌を抑えこみ善玉菌を増やすことが、便秘の解消・整腸作用のほかに生活習慣病やがんの発生を防ぎ、老化を遅らせる上で重要であることが解明されてきました。

乳糖以外に牛乳には、善玉菌のうち最も多く存在し、有用な働きをするビフィズス菌の増殖を助ける成分が含まれています。牛乳に含まれるオリゴ糖は、ビフィズス菌が増殖するための栄養源となります。また牛乳たんぱく質のκ−カゼインが消化されることによって生ずるカゼイングリコペプチドには、ビフィズス菌の増殖を促進する働きがあります。