Q37
アスリートにとって牛乳摂取はどんなメリットがあるのですか?

牛乳には、運動中の筋肉の消耗抑制や運動後の筋肉回復、<BR>脳の疲労を抑制する働きがある分枝鎖アミノ酸が豊富に含まれています。

アスリートにとって筋肉づくりは非常に重要な課題です。その筋肉づくりに必要な栄養素はたんぱく質で、最近、分枝鎖アミノ酸が注目されています。分枝鎖アミノ酸は食事中のたんぱく質に含まれる必須アミノ酸の約50%、筋たんぱく質の約35%を占めています。分枝鎖アミノ酸の生理作用は、運動中の筋肉の消耗抑制、運動後の筋肉回復などの働きがあるといわれています。牛乳のたんぱく質に含まれる分枝鎖アミノ酸量は21.4%で、大豆の18.4%、豚肉の18.6%に比べて多く、激しい運動をするアスリートにとって、牛乳は有利なたんぱく質補給源といえます。

牛乳介入群では骨密度、骨量、筋量が増加し、
疲労度の減少も観察されました。

また、日本人のアメリカンフットボール選手(平均26.9歳)38名を対象に、16週にわたり牛乳介入群(栄養指導介入を行い、牛乳500ml/日、さらに週3回のトレーニング直後に500ml上乗せ摂取した)と牛乳介入を行わなかった群(牛乳摂取量は平均117ml/日)に分けて比較検討しました。その結果、牛乳介入を行わなかった群では、骨密度および骨量、トレーニング後の疲労度の変化は観察されませんでしたが、体脂肪量の増加と筋量の減少が認められ、一方、牛乳介入群では体脂肪量の増加は認められず、骨密度、骨量(体幹部)、筋量(体幹部)が有意に増加しました。またトレーニング直後の疲労度は、牛乳介入群では8週、16週と経時的な減少が観察されました(図)。

最近のアスリートは、大量のサプリメントに依存する傾向がみられ、サプリメントの過剰摂取による健康障害を危惧する声もあります。その点、激しいスポーツをするアスリートにとって牛乳は、良質なたんぱく質と豊富なカルシウムを安心して補給できる食品といえます。