Q40
インスリン抵抗性症候群ってなんですか?牛乳・乳製品とはどんな関係があるのですか?

牛乳・乳製品の摂取によって、インスリン抵抗性症候群が改善されるという報告が出されています。

膵臓から分泌されるインスリンは筋肉や脂肪細胞などの細胞に働きかけ、細胞内に糖を取り込ませることで、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)を減らします。しかしインスリンが分泌されても、その働きが悪くなってスムーズに糖を細胞内に取り込めなくなり、血糖値が下がらない現象が起こります。この状態をインスリン抵抗性症候群といいます。

インスリン抵抗性症候群を放置しておくと、
糖尿病を発症するだけではなく、高血圧、高脂血症とも深く関与します。

インスリン抵抗性症候群を放置しておくと、糖尿病を発症するだけではなく、高血圧、高脂血症とも深く関与するといわれてます。最近では、肥満にインスリン抵抗性症候群と関連して糖尿病、高血圧、高脂血症を合併して発症する状態を「シンドロームX(内臓肥満症候群)」と呼び、心筋梗塞、脳梗塞のハイリスク群として捉えられています。

ボストンのPereiraらが、牛乳・乳製品の摂取頻度とインスリン抵抗性症候群の関係について、18〜30歳の若年成年3,157人を対象に調査しました。その結果肥満(BMI≧25)症例では、乳製品を1日5回以上摂取するグループは、1日1.4回以下しか摂取しないグループに比べて、インスリン抵抗性症候群の発症率(調整オッズ比)が71%低かったと報告されています(図)。

さらに詳しく解析すると、1日の牛乳・乳製品の消費回数が1回増えるごとに、インスリン抵抗性症候群の発症率は21%低下しました。

このメカニズムについてはいまだに解明されていませんが、牛乳・乳製品を積極的に摂取すると、インスリン抵抗性症候群になりにくく、糖尿病の発症を予防することが期待できます。