血清コレステロール値が上昇する高脂血症は動脈硬化を進展させ、心筋梗塞や脳梗塞の発症の危険因子とされています。血清コレステロール値を上昇させる原因には、肝臓病や腎臓病、ホルモン系の病気などが挙げられますが、毎日の食生活が深く関与しています。
コレステロールは食事から摂取される量に応じて、肝臓でも合成され、血清コレステロール値を一定に保っています。
牛乳の摂取と血清コレステロール値の関係について、これまで循環器や脂質代謝の専門医から多くの試験報告が出されています。それらの試験報告によると、健康人が1日600ml程度までの牛乳を毎日摂取した場合、最初の2〜3週間は血清コレステロール値が若干上昇するものの、その後は減少傾向を示し、やがて試験開始時の値に戻ることが、どの試験でも確認されています。また高脂血症の患者に対して行われた試験でも、同様の結果が得られています。
また、動物実験ですが、牛乳のホエー(乳清)たんぱく質には、コレステロールの合成を阻害する働きがあると報告されています。
血清コレステロール値が低値になると、 うつ病やがんの危険因子となり、高齢者の寿命にも影響。
コレステロールは悪者扱いされていますが、人間の身体にとって欠かせない生体構成成分で、表に示すような大事な働きがあります。また、血清コレステロール値が低値になると、うつ病やがんの危険因子となるだけでなく、高齢者の寿命にも影響しているといわれています。
■表 | コレステロールの役割 |
1. | 細胞膜の構成材料となる |
2. | 脳細胞の神経線維を包む鞘の成分となる |
3. | 性ホルモンや副腎皮質ホルモンの材料になる |
4. | 脂肪の消化に必要な胆汁酸の材料になる |
5. | カルシウムの吸収を良くするビタミンDの材料となる |
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