Q43
牛乳・乳製品のカルシウムが血圧を下げるって本当ですか?

1日のカルシウム摂取量が400〜500mgより少ないと、高血圧の発症頻度が上昇する可能性が高いと指摘されています。

古くから飲料水の硬度(硬度が高いほどカルシウムの含有量が多い)と心血管合併症の死亡率との間に密接な関係があることが、報告されてきました。また内外の疫学調査で、カルシウムの摂取量が少ない地域では、高血圧の人が多いという報告も出ています。

1971〜1975年に米国で行われた「健康と栄養に関する調査」の調査資料を基に、McCarronが、10,372人の血圧値と17種類の栄養摂取量との関係を解析した結果を報告しています。

米国の調査で高血圧例は、カルシウム摂取量が
1日300mg以下では11〜14%、1,200mg以上では3〜6%でした。

その結果、カルシウム摂取量が1日300mg以下では高血圧例が11〜14%であったのに対して、カルシウム摂取量が1,200mg以上では3〜6%でした(図)。このことからカルシウムの摂取量が高血圧の発症に強く関与していることが示唆されました。

わが国でも、東北地方で実施された疫学調査で、カルシウムの摂取量が少ないと高血圧、脳卒中の発生が増加するデータが報告されています。これらの調査から、1日のカルシウム摂取量が400〜500mgより少な場合には、高血圧の発症頻度が上昇する可能性が高いと指摘されています。ちなみに日本人の平均カルシウムの摂取量は、男性559mg、女性535mg(平成14年度)で、高血圧のリスクの高い400〜500mgをわずかに上回る数値です。

カルシウムと血圧の関係については、高血圧のリスク要因となる食塩(ナトリウム)の排泄にカルシウムが関与しているとしいわれていますが、詳しいメカニズムはまだわかっていません。