Q44
牛乳・乳製品は動脈硬化、心疾患の原因になるのですか?

欧米で実施された各種の疫学調査では、心疾患の発症に牛乳・乳製品がリスク要因になるという結果はでていません。

心疾患(心筋梗塞)は血管の病気で動脈硬化によって発症します。したがって心疾患にならないためには、動脈硬化の進展を予防することが必要です。

乳製品を含む食事と動脈硬化、心疾患の関係について、欧米ではいくつかの疫学調査が実施され、牛乳・乳製品は心疾患のリスク要因にはなっていないと報告されています。

バターの摂取が最も多いグループが
心疾患の発症率が低いというデータが出ています。

高血圧を抑制するための食事からのアプローチをしている疫学調査のDASHスタディでは、食事と心疾患の発症のリスクについて調査しています。118名を対象に、@コントロール食(典型的なアメリカ人の食事)摂取群、A果実・野菜を多く含んだ食事摂取群、B低脂肪乳製品、果実・野菜を多く含んだ食事摂取群の3グループに分けて、8週間摂取した後、心疾患のリスクとなる動脈へのダメージを与えるホモシステインのレベルを検討しました。その結果、ホモシステインのレベルが最も低下したのは、B低脂肪乳製品、果実・野菜を多く含んだ食事を摂取したグループでした(図)。

古くから実施されている疫学調査として知られているフラミンガム・コホートでは、832名を対象に乳製品(バター)の摂取量と心疾患の発症率の関係について検討していますが、バターの摂取が最も多いグループが、心疾患の発症率が低かったというデータが出ています。

また、ノルウェーで心臓発作患者を対象に実施された研究では、植物性脂肪のマーガリンに多く含まれているトランス型脂肪酸が、心筋梗塞のリスク要因になることが判明しました。