Q45
牛乳ががんの発生を抑えるって本当ですか?

牛乳の摂取により、胃がんだけではなく、大腸がんの発生率が低下するという疫学調査が報告されています。

牛乳の摂取によって、胃がんの発生率が低下するという疫学調査がはありましたが、最近、大腸がんや乳がんの発生率の低下にも牛乳が関っているという調査データが報告されています。

大腸(結腸、直腸)がんの発生と食事の関係についての疫学調査結果が、米国・ハーバード大学チームから報告されました。欧米の4ヵ国(米国、カナダ、オランダ、スウェーデン)で6〜16年間にわたり実施された10件の疫学調査を解析したもので、男女53万人を対象に行われました。調査期間内に4,992人に大腸がんが発生しました。調査方法は、乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)やそれ以外の食物の摂取頻度と大腸がんの発生頻度を比較検討しました。

その結果、図のように牛乳を1日70g未満しか飲まないグループの発生率を100とすると、70〜174g、175〜249g、250g以上飲むグループでは、大腸がんの発生率が、それぞれ94%、88%、85%と低下しました。つぎに、カルシウムの摂取量との関係を検討したところ、1日500mg未満のグループと比較して、700〜799mgのグループは、大腸がんの発生リスクが79%に低下しました。

牛乳の脂肪に含まれる共役リノール酸には、
がんの発生を抑制する効果が報告されています。

牛乳・乳製品の摂取量と乳がんとの関係についてフィンランド(4,600名)とニューヨークでなされた2つの疫学調査では、いずれも牛乳・乳製品の摂取量が多いほど乳がんの発生が少ないと報告されています。

また、牛乳の脂肪に含まれる共役リノール酸には、乳がんの発生を抑制する働きのあることが、海外で実施された動物実験で確かめられています。さらに悪性黒色腫、結腸・直腸がん、肝がん、肺がん、前立腺がんに対する共役リノール酸の抑制効果を示すデータも報告されています。