_________”乳等省令”


乳等の成分規格の試験法

(1)乳及び乳製品
  1. 乳及び乳製品の無脂乳固形分の定量法
    ___底径五p以上のアルミニウム製平底ひよう量皿を九八度から一〇〇度までの温度の乾燥器中で乾燥して恒量とする。試料二・五gから三gを前記のひよう量皿に量り採り、水浴上で注意しながら加熱し、大部分の水分を蒸発した後前記の乾燥器に移して、恒量となるまで乾燥し乾燥物質量を求める。乾燥物質のパーセント量から乳及び乳製品の乳脂肪分の定量法の項に定める方法により定量した脂肪のパーセント量を引いて無脂乳固形分のパーセント量とする。
    ___乾燥器は気温九九度±一度に調節できるもので器壁棚板からの伝導熱、熱板からのふく射熱等のために、試料が指定の温度以上に過熱されることのない構造のものを用いる。
  2. 乳製品の乳固形分の定量法
    1. 濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖れん乳及び加糖脱脂れん乳の乳固形分の定量法
      ___試料二〇gを量り採り、温水で希釈し、一〇〇mlメスフラスコに入れて定容とし希釈試料とする。その希釈試料五ml(試料一g相当量)を採り前項と同様にして乾燥物質量を求める。濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳及び無糖脱脂れん乳にあつては、乾燥物質のパーセント量を乳固形分のパーセント量とし、加糖れん乳及び加糖脱脂れん乳にあつては、乾燥物質のパーセント量から乳製品の糖分の定量法の項に定める方法により定量したしよ糖のパーセント量を引いたものを乳固形分のパーセント量とする。
    2. 全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー及び加糖粉乳の乳固形分の定量法
      ___九八度から一〇〇度までの温度の乾燥器中で乾燥し、恒量とした底径五p以上のアルミニウム製平底ひよう量皿に試料二gを量り採り前記の乾燥器中で乾燥して乾燥物質量を求める。全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエイパウダー及びバターミルクパウダーにあつては乾燥物質のパーセント量を乳固形分のパーセント量とし、加糖粉乳にあつては乾燥物質のパーセント量から乳製品の糖分の定量法の項に定める方法により定量したしよ糖のパーセント量を引いたものを乳固形分のパーセント量とする。
  3. 乳及び乳製品の乳脂肪分及び乳たんぱく量の定量法
    1. 牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳及び加工乳の乳脂肪分の定量法
      ___硫酸一〇mlを硫酸用ピペツトを用いてゲルベル乳脂計に注入し、次に乳一一mlを牛乳用ピペツトを用いて徐々に硫酸上に層積し更に純アミルアルコール一mlを加えゴム栓をし、指で栓を圧しつつ振り乳を溶解した後、約六五度の温湯中に一五分間浸し、次に三分間から五分間遠心器(一分間の回転数七〇〇回以上)にかけ更に約六五度の温湯中に浸して温度を一定にし析出した脂肪層の度数を乳一〇〇分中の乳脂肪量とする。
      ○試 薬
      1. 硫酸 一五度で比重一・八二〇から一・八二五までのもの
      2. アミルアルコール 沸点が一二八度から一三二度まで、比重が一五度で約〇・八一のもので、本品二mlについて水一一mlを用いて牛乳の場合と同様にして盲検を行い一夜静置して油状物の分離を認めないもの
    2. 濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、全粉乳、クリームパウダー、加糖粉乳及びクリームの乳脂肪分の定量法
      ___濃縮乳、無糖れん乳及び加糖れん乳は乳製品の乳固形分の定量法の項に定める方法による定量の際に用いた希釈試料の一〇mlをリヨーリツヒ管に採り、アンモニア水(二五%から三〇%で無色透明なもの)二mlエタノール(九五%から九六%)一〇mlを順次加えてその度によく混ぜ合わせる。
      ___全粉乳、クリームパウダー及び加糖粉乳は試料一gを、クリームは試料五gを小型ビーカーに量り採り、温湯約四mlを加えて溶解し、リヨーリツヒ管に移し、更に三mlの温湯で二回、次にアンモニア水二mlエタノール(九五%から九六%)一〇mlを用いて順次ビーカーを洗いリヨーリツヒ管に加えその度に栓をしてよく混ぜ合わせる。
      ___エタノールを加えたリヨーリツヒ管にエーテル二五mlを加え静かに回転して均一の色調となつたときエーテルガスを抜き、管を水平にして三〇秒間激しく振り混ぜる。次に石油エーテル(沸点六〇度以下)二五mlを加え、同様に三〇秒間振り混ぜ栓を緩め、上澄液が全く透明となるまで直立して二時間以上静置する。上澄液をあらかじめ恒量を求めたビーカーに入れる。
      ___リヨーリツヒ管にエーテル二五ml次に石油エーテル二五mlを加え第一回と同様にして上澄液をビーカーに合し、側管の先端をエーテル及び石油エーテル等量混合液で洗浄してビーカーに加える。
      ___全粉乳、クリームパウダー、加糖粉乳及びクリームは、更に前回と同様の操作を行う。
      ___ビーカーは、約七五度で注意して溶剤を揮発させ、気温一〇〇度から一〇五度までの温度の乾燥器中で一時間乾燥し増量を乳脂肪量とする。
    3. たんぱく質濃縮ホエイパウダーの乳たんぱく量の定量法
    (5) プロセスチーズ及び濃縮ホエイの1
    ___乳固形分の定量法のbに規定する方法により求めた値を乳固形分のパーセント量で除
    ____した数に一〇〇を乗じ、乳固形分中の乳たんぱくのパーセント量とする。
  4. 乳の比重の測定法
    ___試料約二〇〇mlをシリンダーに取り、比重一・〇一五から一・〇四〇までの浮ひよう式牛乳比重計を用い一五度において測定する。もし、一五度以外の温度で測定した場合には、生乳、生山羊乳、牛乳、特別牛乳及び殺菌山羊乳にあつては別記一全乳比重補正表、部分脱脂乳及び脱脂乳にあつては別記二脱脂乳比重補正表を用いて一五度の比重に換算する。
  5. 乳及び乳製品の酸度の測定法
    ___試料一〇mlに同量の炭酸ガスを含まない水を加えて希釈し、指示薬としてフエノールフタレイン液〇・五mlを加えて〇・一mol/l水酸化ナトリウム溶液で三〇秒間微紅色の消失しない点を限度として滴定し、その滴定量から試料一〇〇g当たりの乳酸のパーセント量を求め酸度とする。
    ___〇・一mol/l水酸化ナトリウム溶液一mlは、乳酸九rに相当する。
    ___指示薬は、フエノールフタレイン一gを五〇%エタノールに溶かして一〇〇 mlとする。
  6. 乳製品の水分の定量法
    ___乳製品の乳固形分の定量法の項に定める方法と同様の方法により乾燥物質のパーセント量を求め、乾燥減量パーセント量を水分のパーセント量とする。
  7. 乳製品の糖分の定量法
    1. 乳糖の定量法
      ___加糖れん乳及び加糖脱脂れん乳は乳製品の乳固形分の定量法の項に定める方法による定量の際に用いる希釈試料二〇ml(試料四g相当量)を二〇〇mlのメスフラスコに採り水を加えて定容として供試液とする。
      ___加糖粉乳は一・五gから一・七gまでを採り温湯に溶解し前項と同様にして二〇〇mlとして供試液とする。
      ___濃縮ホエイは、検体を細砕器具を用いて均一な試料とした後、前項と同様にして二〇〇mlとして供試液とする。
      ___フエーリング溶液甲・乙各五mlと水一〇mlを二〇〇mlのマイヤーフラスコに採り供試液をビユーレツトに入れ滴定予定量の大部分を注加し、石綿付金網上で二分間以内に沸騰させ少し火力を弱め、硫酸銅の青色がほとんど退色した後メチレンブルー液四滴を徐々に加え煮沸しながら青色の消えるまで供試液を滴下する。滴定の終末においては一回に一滴ずつ滴下して過量とならないようにし、滴定は沸騰し始めてから三分間以内に終わらせる。滴定予定量を定めるため予備試験を行い、本試験において滴下する供試液の量は二ml以内に止めるようにする。
      ___滴定数より別記三乳糖定量表を用いて「供試液一〇〇ml中の無水乳糖量」を求め、これにフエーリング溶液の甲液の力価を乗じ補正を行つて試料一g当たりの乳糖量を求める。
      ___同時に滴定数に相当する同表中の数値を求めて試料一g当たりに換算しこれをしよ糖定量の際乳糖が還元する亜酸化銅量に基づく「試料一g当たりの乳糖量が転化糖として定量せられる量」とする。
    2. しよ糖の定量法
      ___加糖れん乳及び加糖脱脂れん乳は乳糖定量用の供試液五〇ml(試料一g相当量)に、加糖粉乳は、一・〇gから一・五gまでを採り五〇mlの温湯に溶解したものに転化用塩酸液(二五%、比重一・一二五)二・五mlを加え六五度の温湯中に浸して二〇分間これを加温して転化し、直ちに水冷してフエノールフタレイン溶液二滴を加え、水酸化ナトリウム試薬を用いて中和し水を加えて二〇〇mlとする。供試液をビユーレツトに入れフエーリング溶液一〇ml(甲、乙各五ml)と水一〇mlを加えたものを乳糖定量の場合と同様に滴定する。
      ___滴定数からこれに相当する転化糖量を別記四の転化糖定量表を用いて求め「試料一g当たりの転化糖の全量」を算出する。次に前記により測定した「試料一g当たりの乳糖量が転化糖として定量せられる量」を上の値より引いたものに〇・九五を乗じ、これにフエーリング溶液の甲液の力価を乗じて補正し、試料一g当たりのしよ糖量を算出する。
      ○フエーリング溶液
      甲液 結晶硫酸銅(CuSO45H2O)三四・六三九gを水に溶かして五〇〇mlとし、その力価を定めておく。乙液 ロツシエル塩一七三g及び水酸化ナトリウム五〇gを水に溶かして五〇〇mlとする。
      ○甲液の力価検定
      ___甲液一〇mlを正確に採り水四〇mlを加え更に酢酸(三→一〇)四mlを加えて酸性としこれにヨウ化カリウム三gを加えて遊離するヨウ素を一%可溶性でん粉溶液を指示薬として〇・一mol/l硫酸ナトリウム溶液を用いて滴定する。〇・一mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の一mlは六・三五七rの銅に相当する。この滴定数から甲液一〇ml中の銅の量を計算する。この銅の量を一七四・九rで除した商を使用した甲液の力価とする。
      ___この力価は一±〇・〇〇五以内となるように調製する。
      ___メチレンブルー溶液 試薬用特級メチレンブルー一gを水に溶かして一〇〇mlとする。