まず、糖尿病にはT型糖尿病とU型糖尿病があります。 IDDMの発症頻度には、著しい人種差がみられ、日本ではT型の発症は少なく、U型が圧倒的多数を占めています。白人にはT型の発症が多いことから、IDDM発症予防の研究が真剣に進められています。 牛乳と糖尿病との結びつきは、最近『牛乳たんぱく質の一つである牛血清アルブミン(BSA)が抗原となって、これに対する抗体が人工栄養児で作られてIDDMの発症を促す』という考えが示されたことに端を発しています。 わが国の食生活は、過去30〜40年間に著しく変化し、肉類は約3倍、鶏卵は1.5倍、牛乳・乳製品は約2.2倍へと、そ供給量が増加していますが、その間IDDMの発症頻度はそれ程増加していません。 もし、BSAがIDDMの原因であり、母乳栄養比率の上昇によってIDDM発症が抑えられるならば、昭和35年以前に生まれた人々はIDDMが少なく、母乳栄養比率が著しく低下した昭和45年から50年にかけて生まれた人々には発症が多く、さらに昭和50年以降に生まれた人々には再び頻度が低下するはずですが、このような傾向は見出されていません。 日本人のT型小児糖尿病(IDDM)に関して、牛乳たんぱくが関与することはないという研究報告もあります。 |