【13】牛乳の脂肪はどのような働きをするのか・・・?

牛乳に含まれる脂肪の消化・吸収は母乳とほぼ同じです。また、脂肪酸組成から、カルシウムの吸収を妨げることはありません。

一般に多価不飽和脂肪酸の多い液状油と、中鎖脂肪酸(炭素数12)であるラウリン酸含量が50%以上を占めるヤシ油の消化吸収性は極めて高い。
牛乳脂肪は、一見、不飽和脂肪酸が多いが、炭素数が12以下の短・中鎖の脂肪酸が特徴的に多いことから、牛乳脂肪の消化・吸収は良好で、母乳脂肪のそれと有意の差はありません。

飽和脂肪酸はカルシウムの吸収を妨げると考えられていますが、炭素鎖長の短い脂肪酸ほどその影響は小さくなります。
牛乳脂肪では短・中鎖の脂肪酸が多いことから、カルシウムの吸収への影響は、母乳脂肪のそれより若干高い程度です。

牛乳脂肪の今ひとつの特徴は、ヒトは食事から摂取しなければならない”必須脂肪酸”であるリノール酸含量の少ないことです。しかし必須脂肪酸としてのリノール酸の必要量は、せいぜい全摂取エネルギーの3〜4%であり、今やリノール酸の摂りすぎによってアレルギーや癌の発症が多くなったと指摘されています。

このような状況下、リノール酸含量の高い植物油を適宣組み合わせて摂取することを前提とするならば、牛乳脂肪は極めて望ましい脂肪といえます。ここで、”組み合わせて摂取する”ことを”同時に”と考える必要はなく、1日単位で、あるいわ1週間単位などで考えれば十分でしょう。