【15】牛乳と炭水化物(乳糖)との関係は・・・?

乳糖不耐症といわれるのは、牛乳中の糖質(=乳糖)を消化する酵素の少ないひとのことで、白人と比べて東洋民族には多いといわれ、牛乳を飲むと下痢をすることがあります。

しかし、コップ1杯程度の牛乳で乳糖不耐の症状を現すひとは少なく、また、乳糖不耐の症状を現すひとでも少しずつ飲むことや、温めて飲むことで、酵素の働きを高めていくこともできるといいます。

牛乳に含まれる炭水化物の主成分は乳糖(99.8%)です。
乳糖はグルコース(ブドウ糖)とガラクトースが結合した二糖類で、小腸上皮に結合する乳糖分解酵素ラクターゼによりグルコースとガラクトースに分解されると同時に吸収されます。

小腸の吸収上皮細胞に取り込まれたグルコースはそのまま、ガラクトースはグルコースに転換され、血液中へ移行します。

北米白人の一部ではラクターゼ活性が低下しないと言われますがラクターゼ活性は一般に離乳期以降に低下します。ラクターゼ活性低下の時期は、北米白人に比べてアフリカやアジア民族では早く、日本人は両者の中間です。
成人の活性は最大活性時と比べて著しく低下しますが、決して無くなるわけではなく、一時に大量の乳糖(牛乳)を摂取するのでなければ、ある程度分解できます。ラクターゼ活性が弱いといわゆる『乳糖不耐』となります。

乳糖不耐の診断基準として、欧米では乳糖の50g溶解液を投与しますが、日本では30g投与を基準としています。牛乳1本に含まれる乳糖はおよそ10gなので、投与基準の低い日本でも牛乳3本以上を一気に摂取した場合の診断です。乳糖不耐症と診断されるひとはおよそ1割と言われていますが、牛乳1本程度で下痢を起こすひとはさらに少ないです。

また、牛乳1本で下痢を起こすひともいますが、必ずしも乳糖不耐症ではなく。”冷”に対する過敏反応の場合もみられます。この場合は、牛乳を温めて、または少しずつゆっくりと飲めば何の症状も呈さないひとが多いです。

乳糖は難消化性糖質であり、一部は未消化のまま大腸に到達し、そこで腸内細菌によって発酵を受け、有機酸のあるものは、大腸壁細胞の栄養源となったり、腸内を酸性側に傾かせて、いわゆる善玉菌優位の腸内菌叢を作り上げたり、便性改善を行うなど様々な形で寄与しています。

なお、ヨーグルトは乳酸菌による乳酸発酵によって乳糖が2〜3割分解され減少していて、また、チーズは、製造の過程で乳糖の大部分はホエーに移行して除かれているので、牛乳で下痢をするひとはヨーグルトやチーズなどが推奨されます。