【7】牛乳中の”リン”はカルシウム吸収に悪影響を及ぼさないか・・・?

”リン”の過剰摂取が取りざたされていますが、リンはカルシウムと結合して骨格などを形成し、エネルギー代謝においても必須な成分です。

牛乳100g中に含まれるカルシウムは110mg、リン93mgで、カルシウムの吸収・利用の点から理想的といえます。

リンは、間接的にカルシウムの吸収に影響するとされていますが、通常の食品中ではそれほど問題となることはなく、
Ca/P(カルシウムとリンの比率)=0.5〜2の範囲であればカルシウムの吸収・利用に支障はないとされています。
また、カルシウムの吸収に当たっては適量のリンの存在が不可欠とされていて、リンの存在が直ちにカルシウムの吸収を悪くすることはありません。

牛乳は、Ca/P=1.18で、カルシウム吸収に何ら問題はなく、歯や骨の形成、維持に適切な割合となっています。

ここで注意しなければならない点は、リンが少ない場合にはカルシウムの吸収は良いが、吸収されたカルシウムが、骨へ沈着することなく尿中へ排泄されてしまうことです。

カルシウムレベルを同じにして市販のカルシウム剤の利用性を検討した動物実験では、炭酸カルシウムの消化吸収率が最も高かったが、骨量の上昇は低く、これにリン酸塩を加えてリンのレベルを上げた実験では骨量が上昇しています。

このようにリンはカルシウムと結合して骨に沈着するという重要な役割を果たしていますが、一方で、カルシウム摂取レベルが低く、リンの摂取量が多い場合には副甲状腺ホルモン(パラサイロイドホルモン)の働きで骨からカルシウム溶出が盛んとなり、このような場合には血管壁などの軟組織にカルシウムの沈着が見られます。