飽食の時代になっても日本人に一貫して不足している栄養素がカルシウムです。カルシウムは、ヒトの体内に体重の1.5〜2%あり、その99%は骨と歯に、残りの1%は血液・筋肉・神経などの組織に存在します。カルシウムの摂取不足が続くと骨密度が下がり、将来、骨粗鬆症を招く危険性があります。骨粗鬆症は高齢の女性に多い病気で、転倒・骨折を招いて寝たきりになる主要な要因になります。
カルシウムには、骨粗鬆症の予防だけでなく、高血圧の予防、月経前症候群の症状の軽減、体脂肪率の低下などの働きも認められているほか、ストレスを和らげる働きもあるといわれています。
日本人に不足しているカルシウムの補給源として、牛乳は最も手軽な食品です。牛乳のカルシウムの吸収率について、牛乳に含まれているリンが阻害するという主張が一部にありますが、牛乳に含有されているカルシウムとリンの比率をみると、吸収を阻害することはありません。むしろ、牛乳のたんぱく質が消化される過程でできるカゼインホスホペプチド(CPP)が、カルシウムの吸収を促進することがわかっています。
__また、乳糖も腸管壁のカルシウムの透過性を高めて、吸収を促進する働きがあります。CPPや乳糖は、カルシウムだけではなく鉄や亜鉛などのミネラルの吸収も促します。
また、牛乳のカルシウムが腎臓結石のリスク要因になるという懸念がありますが、実際には、腎臓結石の成分であるシュウ酸と同時に牛乳を摂取すると、腎臓結石のリスクが低下するという報告が出されています。
カルシウムのほかに、牛乳に含まれるミネラルで含有率の多いものは、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、リン、硫黄、塩素です。いずれも大切なミネラルですが、血圧を調節する働きがあるカリウムが豊富に含まれています。
牛乳にはビタミンB1、B2、B6、パントテン酸、B12などのビタミン群が比較的多く含まれています。このうち、生活習慣病や老化を防ぐ働きがあるビタミンB2が豊富に含まれているのが特徴です。 |