3.豆類:PULSES(表4)

 

 特に、大豆製品である豆腐、生揚げ、凍り豆腐、納豆などはカルシウムを多く含むうえ、蛋白質源としてもすぐれた食品である。最近は納豆中のビタミンK2や大豆の成分の一つであるイソフラボンが骨粗鬆症予防に効果があるということで注目されている。

【表4】豆類:PULSES
食 品 名100g中
含有量
1回使用量備   考
目安量Ca量
※ 豆 類
いんげん全粒 130;mg20g(乾)26;mg白いんげん、うずら豆、金時豆、とら豆
塩えんどう 1,00036g(大1)360炭酸カルシウム使用
そらまめ 10030g(1人分)30
だいず国産全粒乾 24030g(1人分)72黒豆、青大豆を含む
えんどうフライ味付 *90別名:グリンピース
ひよこまめフライ味付* 75別名:テックピー、ガルパンゾー
べにばないんげん乾* 8035g(1人分)28別名:はなまめ、白花豆
※大豆製品
木綿豆腐 120100g(1/3丁)120
絹ごし豆腐 90100g(1/3丁)90
沖縄豆腐 120100g120
焼き豆腐 15080g(1/3丁)120
生揚げ 24040g(1/3枚)96
油揚げ 30010g(1/2枚)30
がんもどき 27065g(1/2枚)176
凍り豆腐 59020g(1人分)118
おから 10040g(1人分)40
生湯葉 9015g(1/2枚)14
干し湯葉 2006g(3個)12
きな粉 25010g(大2)25
糸引き納豆 90g60g(1人分)54
挽き割り納豆* 60
*:五訂日本食品標準成文表 - 新規食品編 - 1997年(科学技術庁資源調査会編)
上記印以外は四訂日本食品標準成文表1982年(科学技術庁資源調査会編)

4.野菜類:VEGETABLES(表5)

 ここでは、最近、食材として広く市場に出まわっている西洋野菜や中国野菜の一部についても取り上げた、特に、小松菜、大根の葉、かぶの葉、西洋野菜であるモロヘイヤ、アブラナ科のロケットサラダなど、また、中国野菜であるタアサイ、カイラン(芥藍)、チンゲンサイ、ジャワホウレン草ともいわれるヒユナ(紫、緑)、ツルムラサキなどの緑黄色野菜には比較的カルシウムが多く含まれているものが多い。また、切り干し大根もその含有量は多い。

 最近、洋風料理に頻繁に使われるようになった香辛野菜(ハーブ、スパイス)は100種を超えるが、料理の味を引き立たせ、魚、肉等の臭みを抑え、食欲を増進させる役割をもつものである。これらは、一度に使用する量はごく僅かであるため、カルシウム供給源としての期待は少ない。

 さらに、エデイブル・フラワー(食用花)も多くの種類が出回るようになったが、成文値が明らかなものは、日本では古くから食習慣のある食用菊(菊のり)である。これは、乾燥重量100g当たり160mgのカルシウム含有量である。

 山菜類では、アシタバ、ノビル鱗茎葉、ヨモギ、ツクシなどに量的には多くはないが100g当たり45〜140mgのカルシウムが含まれる。

【表5】野菜類:VEGETABLES
食 品 名100g中
含有量
1回使用量備   考
目安量Ca量
あさつき 120;mg10g12;mg
おかひじき 16050g80
オクラ 9550g48
かぶ葉 23015g(1/2株)35
からしな 11030g33
きょうな 15080g120
クレソン(ミズガシラ) 14040g(6〜7本)56
小松菜 29080g(1/4束)232
しそ葉 2205g(5枚)11
春菊 9050g(1/4束)45
ずいき 8060g(1人分)48
干しずいき 1,20020g(1人分)240
大根まびき菜 14060g84
大根葉 21030g63
切り干し大根 4701571
菊のり 1605g8食用菊
ナバナ花蕾 15050g75花菜(菜の花)
野沢菜 14030g42
パセリ 1905g10
ヒロシマ菜 12080g96白菜の仲間、ツケナの一種
グリーンボール* 60
葉大根* 170
カイワレ大根* 55
つまみ菜* 210
葉にんじん* 90
サニーレタス* 65
リーフレタス* 60
かんぴょう 2505g13ユウガオ果実の加工品
*西洋野菜
ロケットサラダ# 30940g124
モロヘイヤ* 26030g78
アーティチョーク花蕾 6030g18朝鮮あざみ
ルバーブ# 6030g18食用大黄、サトウ漬け、ジャム
エシャロット* 20
西洋なばな(茎葉生)* 95
*中国野菜
菜心# 15660g94芯採り菜、アブラナ科
タアサイ* 12060g72
カイラン(芥藍)# 12860g77キャベツの仲間
紅心ダイコン# 8630g26
チンゲンサイ 13080g(小1株)104
ヒユナ(紫)# 17840g71
ヒユナ(緑)# 18740g75
エンサイ(ようさい) 8540g34
香菜(シャンツァイ)# 10110g10セリ科
ツルムラサキ 20050g100
茎ニンニク* 45輸入品
パクチョイ(葉生)* 100
*香辛野菜
ホースラディシュ 12010g12
*山菜類
アシタバ 65
ノビル鱗茎葉 65
ヨモギ 140
*:五訂日本食品標準成文表 - 新規食品編 - 1997年(科学技術庁資源調査会編)
#:食品図鑑、女子栄養大学出版社1996年参照
上記印以外は四訂日本食品標準成文表1982年(科学技術庁資源調査会編)

5.藻類;ALGAEおよびきのこ類;FUNGI(表6)

1)藻類

 海藻類では、アオノリ(素干し)、刺身のつまや酢の物あるいは海藻サラダなどに使われるオゴノリ・トサカノリ(青)・わかめ、さらには干しひじき、もずく、こんぶなどに比較的多くカルシウムが含まれている。

2)きのこ類

 シイタケ(生および干し)やエノキタケ、シメジなど、ほとんどのきのこ類のカルシウム含有量は微量であるが、クロキクラゲ(乾)およびシロキクラゲ(乾)には100g当たり180mg、240mgのカルシウムが含まれる。

【表6】藻類;ALGAEおよびきのこ類;FUNGI
食 品 名100g中
含有量
1回使用量
目安量Ca量
*藻  類
アオノリ(煮干し) 840;mg2g(大1)17;mg
オゴノリ 59020g118
マコンブ(干し) 7105g36
こんぶ佃煮 42015g(1人分)63
こんぶ巻き 13030g(1人分)39
青トサカノリ 19030g(1人分)57
あまのり(干しのり) 3901g(1/3枚)4
あまのり (焼きのり)4102g(1袋5枚)8
あまのり (味付けのり)2102g(1袋5枚)4
ひじき(干し) 1,4008g(1人分)112
もずく(塩ぬき) 10050g50
わかめ(煮干し) 9602g19
茎わかめ 7020g14
*きのこ類
クロキクラゲ(乾) 1801g(約3個)2
シロキクラゲ(乾) 2401g(約3個)2

6.種実類:NUTS & SEEDおよび香辛料類;SPICES(表7)

【表7】種実類:NUTS & SEEDおよび香辛料類;SPICES
食 品 名100g中
含有量
1回使用量備   考
目安量Ca量
*種実類
アーモンド 230;mg15g(10粒)35;mg
クルミ 8520g(殻ナシ5粒)17
しいの実 65
ピスタチオ(炒り味付け) 13010g(20粒)13
ブラジルナッツ 17030g(10粒)51
ヘーゼルナッツ 19015g(10粒)29
麻の実 130
えごま 390
けしの実 1,700
ごま 1,2009g(大1)108
 〃 むき* 60
はすの実(成熟味付け) 190
ひまわりの種 95
 〃 炒り味付け* 80対象:オイルロースト
*香辛料類
米みそ(淡色辛味噌) 10010g10
麦みそ 80
オールスパイス 780
ガーリックパウダー 100
クローブ(丁字) 640
サンショウ 750
シナモン 1,200
ジンジャー粉 110
黒コショウ 410
白コショウ 240
タイム 1,700
ナツメグ 160
パプリカ 170
チリパウダー 280
*:五訂日本食品標準成文表 - 新規食品編 - 1997年(科学技術庁資源調査会編)
上記印以外は四訂日本食品標準成文表1982年(科学技術庁資源調査会編)

1)種実類

 NUTS類では、アーモンドが最も含有量が多く、次いで、ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツ(炒り)、ピスタチオ(炒り味付け)、クルミなどである。

 SEED類で含有量の多いものは、エゴマ(シソ科の一年生草本の種子、ごまと同様にたれや和え物などに利用される)、けしの実、ごまなどである。

2)香辛料類

 香辛料には100g当たりのカルシウム含有量が1,000mg以上であるタイム、シナモンのほか、オールスパイス、サンショウ、クローブ(丁字)などは700mg前後のカルシウムが含まれている。しかし、これらの食品は、一回の使用量が微量であるため、カルシウム供給源としては期待できない。

7.その他

 前述以外で比較的カルシウムを多く含む食品として、穀類では、アマランサス(主にアレルギー用食品として利用されている)が160mg/100g、いもおよびでん粉類では、板こんにゃく(生いも)が70mg/100g、獣鳥鯨肉類では、豚の軟骨(ゆで)が100mg/100g、卵類では、鶏卵(全卵生)が55mg/100gである。

 また、最近、果実類のなかで輸入品が市場を賑わせているが、キワノ、グズベリー(別名スターフルーツ)、スィーティー、ドリアン、マンゴスチン、ライチ、ラズベリーなどに含まれるカルシウムは、100g中にほぼ10〜20mg程度を示し、カルシウム含有量は少ない。

おわりに

 骨の健康の維持増進には、カルシウムおよび各々の栄養素を日常の食生活のなかで不足することなく十分量摂取することが重要である。そのためには、どのような食品を選択し、どのように取り入れていけばよいか、日常生活のなかで、常に意識しながら過ごすことが大切であり、毎日の適正な食事の積み重ねが最も重要である。まずは、ここにあげたカルシウムの豊富な食品をかたよらないよう考慮しながら、毎日の食事に一品でも多く取り入れる工夫が大切である。

参考文献

(*1)厚生省:平成9年度国民栄養調査成績,1998
(*2)江澤郁子、川名光子ほか:老齢期女性に対するカルシウム供給源としてのミルク添加効果の検討、日本女子大学紀要 29:73−79,1982